【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は2009年9月、英国国教会(聖公会)からカトリック教会に入ることを望む聖職者・信者らに応えるための使徒憲章を承認した。英国国教会のメンバーであることとこれまで守っていた典礼の多くをそのまま保持しつつ加入を認めるという方式で、主教5人を含む聖職50人が2011年にもカトリック教会に迎えられることになろう。
これらの聖職者の1人、ロンドン東方エブスフリートのアンドリュー・バーナム主教は、国教会の自由化傾向と、それに伴う保守派への扱いに幻滅を感じたことが転会の動機になったと言う。
「女性聖職を認めないのは時代遅れ、と言われるが、論議は神学よりも社会学の領域のものになっている」とし、国教会が女性聖職反対派に適正な措置をとるとした約束を果たしていない、と非難している。
「アングロ・カトリック」と呼ばれる保守派の大多数は、女性叙階が2012年に正式に決定されることになるか、最終段階での否決を期待して注視している。
ケント州リッチバラのキース・ニュートン主教も、離脱を準備しているが、国教会の自由化進展に失望した、と言う。「離脱は辛い。国教会には大きな世話を受けた。しかしこれ(オルディナリアーティ)は嬉しい機会だ」として、今すぐオルディナリアーティに加わりたいという聖職者もいるが、しばらく様子見の人もいる、と語った。
近くのカトリック教会ノッティンガム教区のマルコム・マクマホン司教は、実際にカトリック教会への聖職者加入は来年早々になるだろう、と言う。「オルディナリアーティは、時がたつと共に増えよう。もはや留まれないと感じるかどうかは、国教会次第だ。国教会を混乱させることがカトリック教会の意図ではない」
転会するとされているジョン・ブローダスト主教は、オルディナリアーティの実情を注意深く見守っている、と語った。英国だけで約1000教会が女性司祭を認めないと決議している。
一方で、教皇が打ち出したオルディナリアーティに英国のカトリック教会司教が全面的に賛成しているわけでもない。代表的な意見かどうかは分からないとしながら、聖書学者のN・T・ライト主教は、『チャーチ・オブ・アイルランド・ガゼット』紙に、今でも伝統主義者がカトリック教会には多すぎるのに、と思う聖職者もいる、と語った。