10月31日、日曜日のミサの最中に、イラクの首都バグダッドのカトリック教会を武装グループが襲撃し、人質や警官らを含む犠牲者がこれまでに58人が出た事件で、キリスト教とイスラム教の指導者らが3日、共同で犯行を非難する声明を発表した。
声明は、スイス・ジュネーブのエキュメニカル・センターで1日から開かれていたキリスト教とイスラム教の指導者らによるハイレベル会議で出されたもので、今回の犯行を「あらゆる宗教の教義、また数世紀にわたって人々が平和に共存することを可能にしてきた中東の文化と相反するものだ」と非難。「国連、(国連)安全保障理事会、また平和を訴えるあらゆるグループ、とりわけイラク当局は、イラク国民の品位を貶め、キリスト教とイスラム教の聖地を汚すことを目的としたテロリストによるすべての攻撃を阻止するため介入するべきだ」と要求した。
事件をめぐっては、同会議のホスト役を務めた世界教会協議会(WCC)やローマ教皇ベネディクト16世、聖公会(英国国教会)のカンタベリー大主教らが、独自に事件を批判する声明を発表している。
襲撃を受けた教会は、バグダッドでは最大級の教会で、ミサ当時は100人以上の信徒が集まっていた。武装グループは信徒らを人質に立てこもったが、イラクの治安部隊が突入。武装グループは、手榴弾を使うなどして自爆攻撃をしたため犠牲者が増えたとみられる。
事件後、国際テロ組織アルカイダの系列組織である「イラク・イスラム国」(ISI)が犯行声明を発表。ISIは、キリスト教関係の組織や施設を攻撃の標的とするとし、キリスト教徒へのテロ攻撃を強化するなどと発表した。
今回の事件は03年のイラク戦争以降、キリスト教徒を標的にした事件では最悪の被害となった。