【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は10月24日、中東司教会議(シノドス)開幕ミサを、バチカンの聖ペテロ大聖堂で特別ミサを行なった。
教皇は、中東各地のカトリック者に対し、孤立しているのでなく、いつも聖座(バチカン)と全体教会と共にある、と説教で述べた。
中東地域のキリスト者が減少していることに、教皇は「たとえ少数でも、人々に対する神の愛の福音の担い手である。その愛はイエス・キリストがその地にあって啓示したものである」と指摘、その地において平和を作り出すもの、和解の使者となることが出来、またそうすべきである、と勧めた。
シノドスは23日の最終会合で、中東でキリスト教徒が存亡の危機にあることを世界に訴え、イスラム、ユダヤ教との共存を呼びかける声明を発表した。
イスラエル占領下で、パレスチナ人キリスト者が移動の自由を奪われ、家屋を破壊されていること、イラクでキリスト者の殺害や教会への攻撃が続いていることを指摘、パレスチナではイスラエルとの2国家解決の実現、イラクでは宗教や民族にかかわらず市民の安全確保を国際社会に訴えた。
今回のシノドスには、中東各地約170人と、アフリカ北部・東部諸国、中東の信者の移民が多い欧米諸国の司教ら、教皇庁の関係者、専門家らが参加、「中東にあるカトリック教会=交わりと証し」を主題に現状を10日から2週間の日程で協議した。
シノドスはこれまで、大陸別や、個々の国をテーマとして行われてきたが、「地域」を対象としたのは今回が初めて。また中東の流動的な情勢の中での開催ということから、2週間という短期間だったことも初めて。
今回は、ラテン典礼の他に、コプト、シリア、ギリシャ・メルキト、マロン、カルデア、アルメニアの各典礼の教会が合同して行い、初めてアラビア語も公用語とされ、討議の際にはイタリア語、英語、仏語と共に使用された。