福音主義キリスト教界の指導者ら4000人が集まるケープタン2010=第3回ローザンヌ世界宣教会議の実行委員会は20日(日本時間20〜21日)、会場のネットワーク網が故意の多重アクセスによる攻撃を受けていたと発表した。
この会議は当初、世界95カ国約700箇所の会場、グローバリンク・サイトで10万人以上に同時中継される予定だった。だが、外部からの多重アクセスによる攻撃などにより過去2日間通信が不安定になっていた。会場内のインターネット回線も不安定な状態が続き、登録や情報配信などデータ管理業務に支障をきたしていた。
ITチームはボランティアの専門家や現地プロバイダー企業などと連携して20日までにセキュリティーを強化し、問題は解消したという。全世界に向けたビデオの配信やインターネット掲示板を活用した交流サイト「ローザンヌ・グローバル・カンバセーション」も予定通り稼動中とのこと。
ローザンヌ運動のIT責任者、ジョセフ・ビジャヤム氏は20日の会見で、外部から数百万のアクセスが世界各地から殺到し、一部は明らかに通信の妨害を目的とした多重アクセスだったと明かした。会場に持ち込まれた電子機器から会場のネットワークにマルウェアが侵入したことも確認されたが、「故意に持ち込まれたものではないだろう」との見解を述べた。
多重アクセスの発信地について、ビジャヤム氏は「ある程度推測できる」と述べる一方、「世界の複数の地域から不正アクセスが見られた。プロキシを介している可能性も十分あり、断言できない」として明言は避けた。
ユニシス社員でITボランティアとして会議に参加しているクマールさんは会見で、「全てが問題なく進んでも神の恵みであり、アクセスが殺到してサーバーが機能しなくなっても神の恵みです」と証しを語った。
【ケープタウン2010】 第3回ローザンヌ世界宣教会議。今月17日から南アフリカのケープタウン市内にあるケープタウン国際会議場で開催されている。24日までの日程で、198カ国の代表ら4000人に加え、ネット通信やウェブサイトを通じて全世界20万人規模のクリスチャンが会議に参加する。会議では、多元主義世界でのキリストの独自性、キリスト教以外の信仰者に対する宣教、キリスト教会の完全性、HIVエイズ、同性愛、貧困、難民など世界の福音化に関するさまざまな課題について議論する。