【南アフリカ・ケープタウン】ローザンヌ世界宣教会議議長、ダグラス・バーザル氏は18日(日本時間19日)、ケープタウン2010内のプレスセンターで行われた記者会見で、中国教会の参加経緯について「招待状の扱いについては事前に現地の指導者と話し合いをしながら慎重に行っていた」と事情を説明した。
中国からの参加者が参加していれば、同日夜の集会でアフリカ教会と共演することになっていた。中国は福音主義クリスチャンの人口ではアフリカに次いで2番目に多く、アフリカ教会との対話と共演は今後の世界宣教史を象徴するものとして期待されていた。
会見では、中国教会を招待する過程で主催側に不備があったのではという質問があった。これに対し、バーザル氏は主催側が招待状の取り扱いを中国側と協議した結果、世界の他の地域と同様、現地による取り扱いを許可したと明かした。また、「今回の結果は非常に残念」と述べた上で、取り扱いの不備について現時点で議論することは不毛だと語った。
主催側は同日までに中国教会の不参加について声明を発表していた。声明でバーザル氏は、「ローザンヌ運動は中国教会の独立性と主体性を決して非難するつもりはない。開催の趣旨、招待管理の地域分権的な体制がかえって中国政府に誤解を与えてしまったようだ」と述べている。
米国の公共ラジオ局、米国公共放送(NPR)によると、中国外務省の広報担当官、馬朝旭(Ma Zhaoxu)氏は同局の取材に対し、主催側が中国政府の公認教会である「中国基督教・三自愛国運動委員会」の指導者を中国のキリスト教会の代表として公式招待しなかったことについて中国政府が憤りを感じているとの談話を発表している。
中国ではキリスト教の伝道活動を政府公認の教会施設内で行うことを義務付けていて、屋外や公認施設以外での活動は法律で禁止されている。また、教育内容や組織の運営管理については聖書信仰と同等またはそれ以上に中国政府の指導を尊重することを義務付けている。
主催側によると、中国教会の指導者はローザンヌ会議への参加を申請し、主催側は参加を承認した。だが、中国側は福音主義クリスチャンの信仰宣言であるローザンヌ誓約(1974年)とローザンヌ運動の趣旨に完全に賛同できないとの見解を示した。
主催側は中国側に対し、カトリック教会や東方教会の諸教会と同様にオブザーバーとして会議に同席することを提案した。だが、中国側はこの提案に同意せず、正式な参加方法が決定しないままの開催となった。
記者会見では主催側に対し、中国側との合意に至らないまま交渉が決裂したことや、中国教会を取り巻く繊細な環境に対する配慮が不足していたことに対する厳しい追及が相次いだ。