【クアラルンプール=ENI・CJC】アジアのキリスト教指導者は、地球規模と地域のエキュメニカル(教会一致の)組織が制度的な固定化を避け、時代の関心により効果的に応答出来るよう変革することを訴えている。
4月14〜21日に開かれたアジア・キリスト教協議会(CCA)総会の際に、インドのマランカラ正統シリア教会のヤコブ・マル・イレナイオス主教は、CCAが地域連合体として加盟している世界教会協議会(WCC)について、「私はWCCが単なる国際組織であるよりは運動となれないか、と夢見ている」と語った。「これはWCCをいかに刷新するかという挑戦であり、それが出来れば世界規模で様々な教会の預言的な声を強めることになる」と言う。この発言は16日、アジアのキリスト教指導者とWCCのオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事との会談で行われたもの。
トゥヴェイト総幹事は、WCCとアジアのキリスト教指導者との関係強化のために対話を求めた。
イレナイオス主教は、WCCとCCAが神学や宣教について多くの研究を行い発表しているが、「その多くは紙の上だけのものだ」と言う。
バングラデシュ合同教会議長のポール・シシル・サルカル監督も、WCCとCCAとの間の神学的対話は「ほとんど知識人向けのもの」と言い、「エキュメニズムに関する神学的思索をどのようにして草の根レベルにまで持っていくか」に取り組むことが課題だ、と語った。そしてWCCとCCAが、活動内容やスタッフを「非集中化」するよう提案した。
キリスト教団体の財政問題への懸念も、他の参加者から表明された。
インドネシアの「開発文化センター」のヨセフ・プルナマ・ウィジャットマジャ代表幹事はCCAの基金の7〜8割が欧州の教会関係の献金だ、と指摘した。「私たちは、CCA憲章が想定しているように自立を目指し、時代の要請に応えるエキュメニズムのあり方について再検討する必要がある」と言う。「私には答えがないが、私たちの使命と理想を掘り直す時だ」と言う。
トゥヴェイト総幹事は、「責任と力を担う」方法を探そう、と語った。「紙を作ることだけにがんばるつもりはない。私たちは単純な方法でエキュメニズムを果たす方法を見つけなければならない。組織構成より結果を重視したい」と言い「私たちの関係を打ちたてはぐくむ道を見つける」ことが重要だ、と指摘した。
16日、ENI通信とのインタビューでネパール教会協議会のカリ・バハドゥル・ロカヤ総幹事は、CCAの改革は、NGO(非政府組織)間の開発プログラムの重複を避けることになる、と示唆した。その代わりにCCAは主張を強力にし、「政府の施策に影響力」と持つようにすべきだ、と言う。「CCAは、憲章を修正し、組織を再編、貧困、人権侵害、軍事主義、非民主政権、宗教的過激主義、政情不安などに反対する預言者的な声を挙げることに力を入れるようになる」と語った。