9月に予定されているローマ教皇ベネディクト16世公式訪英の受け入れ準備に当たる英国外務省職員が、「同性愛者の結婚を教皇が祝福」など、教皇をからかうような内容の行事予定案を作成し、内部文書として同省内で回覧していたことが25日付のサンデー・タイムズ紙の報道でわかった。
同省は文書の存在を認め、英国大使を通じてバチカンに謝罪。文書を作成した職員については、教皇訪英準備の担当から外したという。
文書には、「同性愛者同士の結婚を教皇に祝福してもらう」「教皇列席の下、妊娠中絶の病院を開設する」「教皇ブランドの避妊具を発売する」など、教皇の姿勢とは相反する、不真面目な内容の提案が盛り込まれていた。
教皇の訪英は英国国教会設立以来、教皇史上初の公式訪問となる。エリザベス女王や国教会の霊的最高指導者ローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教らとの会談が予定されており、バチカン・英国双方の歩み寄りを図ろうとする動きと考えられる。
しかし、同性愛の容認問題などで国教会に混乱が起こる中、国教会保守派にカトリックへの改宗を促した教皇の言動は、国教会内で波紋を呼んだ。今回の文書の件も含め、バチカンと英国の間には依然として大きな壁があるようだが、9月の訪英で双方の関係改善にどこまで進展が見られるのか、注目される。