長崎市の姉妹都市であるフランス・ヴォスロール村の村長・ブノア・デムラン氏らが13日、同市を訪問した。同村は、明治時代に長崎でキリスト教布教の傍ら社会福祉事業にも取り組んだ宣教師マルク・マリー・ド・ロ神父の出身地だ。
ヴォスロール村はフランス北西部に位置する人口約350人の村。ド・ロ神父が長崎市の外海地区で社会福祉事業に取り組んだ縁で、旧西彼外海町が1978年に姉妹都市提携を締結し、05年の市町村合併で同市がこれを引き継いだ。
長崎新聞によると、この日、デムラン氏ら計16人の一行は市役所で市長の田上富久氏と面談。その後、市議会を訪問したデムラン氏は「長崎の平和を求める活動はド・ロ神父の思想と軌を一にしている。世界の未来を考えていく上で、姉妹都市との関係は重要」と挨拶した。
14日は同市西出津町で「ヴォスロール通り」の命名式があるほか、記念植樹なども実施。デムラン氏ら一行は17日までの日程で外海地区などを視察する予定。
ド・ロ神父は、1868年に来日したパリ外国宣教会所属の司祭。宣教地であった長崎で社会福祉活動と、農工業や建築といった様々な技術の伝承に努めた。国の重要文化財で「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成文化財の一つともなっている「旧羅典神学校」を設計・建築するなどの業績を残している。