英王室と英外務省は16日、ローマ教皇ベネディクト16世が9月に英国を公式訪問すると発表した。英国国教会設立以来、教皇の公式訪問は史上初となる。
訪英は9月16日から19日までの4日間。エリザベス女王や英国国教会の霊的最高指導者ローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教らと会談する。中部のコベントリーでは、19世紀に国教会からカトリックに改宗し、枢機卿となった英国人ジョン・ヘンリー・ニューマンの列福式を執り行う予定だ。
英国は16世紀、王権と教皇権をめぐる争いでカトリックから独立し、国王を最高権威とする国教会を設立した。80年にエリザベス女王が英国家元首としてバチカンを史上初めて訪問。82年には、前教皇のヨハネ・パウロ2世が非公式ではあるが教皇として初の訪英を果たし、実に4世紀ぶりとなる歴史的和解を果たした。
今回の公式訪問も、双方のさらなる歩み寄りを図ろうとする動きと考えられる。しかし、同性愛の容認問題などで国教会に混乱が起こる中、国教会保守派にカトリックへの改宗を促した教皇の言動は、国教会内で波紋を呼んだ。今回の訪英により、双方の関係改善にどこまで進展が見られるのか、注目される。