ロシア正教会は22日、日本の宣教に生涯をささげたロシア正教会の宣教師、聖ニコライ(1836〜1912)の日記を出版し、日ロ交流に寄与したとして、日本財団会長の笹川陽平氏(71)に勲位を贈呈した。同日、在日ロシア大使館で授与式が行われ、笹川氏はこのほかロシア自然アカデミーの会員証も授与された。
1861年に来日した聖ニコライははじめ、函館で宣教を行い、日本ハリスト正教会初の日本人信者で司祭となる沢辺琢磨らを伝道。日本の宣教を精力的に行い、祈祷書や聖書の翻訳も行った。1869年と1879年に2度帰国したが、それ以降は日露戦争中も含め日本を離れることはなく、日本宣教のためにその生涯を捧げた。
聖ニコライの日記は関東大震災で焼失したとされていたが、大妻女子大学の中村健之介教授が1979年、サンクトペテルブルクの古文書館で発見した。04年にロシア語原文版が刊行。日本財団が翻訳事業を支援したことで、07年に日本語全訳版の『宣教師にコライの全日記』(教文館、全9巻)が出版された。