熊本市の慈恵病院(蓮田太二理事長)が運営する、親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」(通称:赤ちゃんポスト)の運営実態を踏まえ、蒲島郁夫・熊本県知事と幸山政史・熊本市長は9日、国会内で民主党の一川保夫副幹事長らと会見。妊娠・出産に関する公的な相談体制の拡充などを要望した。
要望内容はこのほか、里親制度の充実や若者への命を大切にする教育の徹底など5項目。これらの要望は、赤ちゃんポストへの預け入れ状況に関して有識者らによる検証会議が昨年11月に発表した最終報告に基づいたもの。
要望を受けて一川副幹事長は「国がもっと問題意識を持って乗り越えるべき課題だ。政府に伝えたい」と回答。会見後、蒲島知事は「全体的に受け止めてもらえた」、幸山市長は「国でも子どもの最善の利益を考えて欲しい」と感想を述べた。
赤ちゃんポストは厚生労働省の許可を得て07年5月に設置。預け入れは昨年9月までに計51人に上っている。運営の慈恵病院はカトリックの「マリアの宣教者フランシスコ修道会」によって1898年(明治31年)に創設された。現在は近代的医療の展開をめざして修道会から経営を移管し、「キリストの愛と献身の精神の基に、病に苦しむ方々へ高度で暖かい医療と看護を尽くし、地域への貢献と人々の幸福に役立つこと」を理念に運営されている。