■犬も歩けば棒に当たる
あなたは今、「ああ、なにをやってもだめだ。私はチャンスの女神から見放されたのだ」と思っていませんか。「なにをやってもだめだ」と言いますが、一体何度くらいやってみたのでしょうか。4回ですか、5回ですか。それとも、9回ですか、10回ですか。昔から、「犬も歩けば棒にあたる」とか、「へたな鉄砲、数打ちゃ当たる」と言うではありませんか。なん度もトライしているうちに、チャンスを物にできるということですね。
私の知り合いに長年ブローカーをやってきた人がいます。もともとはサラリーマンだったのですが、リストラで10年勤めた会社を早期退職して、うまい儲け話を右から左に仲介して仲介料をとるブローカーの仕事を始めました。ところが、うまい儲け話はいくらでもあるのですが、なかなか物にできません。取引の相手方に信用されなかったり、契約寸前に他のブローカーに出し抜かれたり、途中で資金が尽きてしまったりで、なにをやってもだめでした。
そのうち、奥さんから愛想をつかされて離婚状を突きつけられたり、家賃滞納でアパートを追い出されたり、料金未納で携帯電話がつながらなくなったり、借金した相手から厳しい取立てを受けたりで、さんざんな目にあいました。その間、「なんとかしてこの話をまとめよう」と何にでも飛びついて、トライしてみることをやめませんでした。しかし、どうしてもうまくいきません。「あいつの持ってくる話は気をつけろ。何一つまとまったことはないんだ」「あいつに金を貸すな。貸したら最後絶対に返してこないからな」と、ブローカー仲間からも警戒されるようになりました。
でも、決してあきらめずに、彼は次から次へといろいろな案件に関わっていきました。大勢の人たちにその日その日のお金を寸借しながら、毎日さまざまな人たちと接触し続けました。こうして次第に彼の人脈が広がっていったのです。「あいつはいくら失敗してもめげない男だ」と彼の評価が上がってきました。こうして、彼は大きな案件を手がけるようになったのです。つい最近、ブローカーを始めて10年目にして、大型不動産の取引をまとめました。彼の受け取った手数料は、なんと10年勤めた会社のサラリー総額の10倍でした。10年間もまったく鳴かず飛ばずのブローカー生活でしたが、一挙に大金を手にすることができたのです。「ブローカー、三日やったらやめられない」と言われる所以ですね。
チャンスはいくらでもあります。でも、チャンスを物にするには、あきらめることなく絶えずチャンスにチャレンジしていくことですね。
■私のモットー
私のモットーは、「Don't Worry!! Yes, We Can! Never Give Up!」です。全能の愛の神を信じ、その神と永遠に結ばれたからには、何一つ思い煩うことはないのです。神のみ心にかなうならば、どんなことでもできるのです。神からいつも新しく力をいただいて、決してあきらめないで挑戦しつづけることができるのです。このモットーを年賀状に印刷してみなさんに送りました。友人の小濱さんは、このモットーが気に入って、Tシャツにプリントして世界中に売り出します。
実は、私はこのモットーの正反対の性格なのです。なんでも深刻に考えて思い煩い、自分にはできないと思って尻ごみし、すぐにあきらめてしまうのです。こうして将来に対する明確なビジョンもなく、むなしい思いで生きていました。でも、「これではいけない。こんなはずはない。私の人生は、希望と喜びにあふれた、もっともっと生き生きとしたものであるはずだ」と信じて、その解決を模索してきました。
そうしてたどり着いたのが、聖書でした。聖書のことばを通してイエス・キリストという真の神と出会い、私自身の心が180度変わりました。神ご自身に、そして神のことばに希望と喜びを見出したからです。
「Don't Worry!!」。使徒パウロは、「神を信じる者には天国が待っている。神に従って行動すればいいんだ。この世のことは何も思い煩ってはならない!」と言って、さまざまな試練を乗り越えて福音を宣べ伝えました。
「Yes, We Can!」。オバマ大統領は、アメリカの危機的状況の中にあって、「神を信じれば、私たちにできないことは何もないんだ!」と宣言して、国家建て直しを実行しています。
「Never Give Up!」。チャーチル首相は、ナチス・ドイツのイギリス本土攻撃に対し、「我々は断じてくじけない。最後まで断固として戦い抜く。断じて降伏しない!」と全国民を鼓舞して、ついに勝利に導きました。これも聖書のことばです。
チャンスはいくらでもあるのです。福音を宣教するチャンス、政治問題を解決するチャンス、戦争を勝利に導くチャンス。ただ、チャンスを物にするには、いかなる困難にも屈しない信仰(意志)の持続と、どんな犠牲をも惜しまない情熱(努力)の継続が必要なだけなのです。
カーネル・サンダースは、ケンタッキー・フライドチキンの製法を売り込むために千件のお店を訪問しました。トーマス・エジソンは、フィラメントを発明するために一万回実験を繰り返しました。
「一事を必ず成さんと思はば、他の事の破るるをも傷むべからず、人の嘲りをも恥ずべからず。万事に換へずしては、一の大事成るべからず」。吉田兼好はこう書きましたが、福音の真髄を突いています。
本物のチャンスとは、どこかに転がっているものではありません。本物のチャンスとは、あなたが自分で作り出すものなのです。
佐々木満男(ささき・みつお):弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。