【CJC=東京】独立闘争などでアイルランドの緊張が高まる中でカトリック教会を指導して来たカハル・デイリー枢機卿が死去した、と教会が12月31日明らかにした。92歳。
北アイルランドを英国から分離させアイルランドと統合しようと武力に訴えていた『アイルランド共和軍』(IRA)を厳しく批判したことで知られる。
北アイルランドの首府ベルファストを含むダウンとコナー司教を1982年から90年まで務めた。当時、講壇からIRAの殺害や関係政党シンフェイン党の政策を繰り返した。教皇ヨハネ・パウロ二世が1979年にアイルランドを訪問した際、紛争停止を訴えたが、その主要演説作成に関与したと伝えられている。
90年にアルマ大司教に任命され、それ以来、南北アイルランド全体の首座司教を務め、91年に枢機卿に選任、96年引退した。
北アイルランド最大のプロテスタント教会のスタッフォード・カーソン議長は、デイリー氏が英国のプロテスタント社会とアイルランドのカトリック社会の関係と協力を改善した、として、プロテスタント側の恐れと「プロテスタントが果たして来た歴史に深い理解」に示した感覚は稀に見るものだった、と語った。
遺体は1月5日、アルマの歴代首座司教の眠る墓所に埋葬される。