インド東部オリッサ州を中心に昨年8月に発生したヒンドゥー教過激派らによるキリスト教徒に対する暴行事件で、同州の裁判所は9月7日、実行犯6人に対して懲役4年と2000ルピーの罰金を命じた。これにより、一連の暴行事件で有罪か確定したのは12人となった。
一方、事件に関わったとされる人物でも、証拠不十分のためこれまでに少なくとも15人が無罪となっている。地元のプレス・トラスト・オブ・インティア紙によると、今回懲役が確定した6人は、放火や夜間外出禁止令下で無断集会を開いたことなどで起訴されていた。
インドでは昨年8月、ヒンドゥー教原理主義組織「世界ヒンドゥー協議会」(VHP)の指導者スワミ・ラックスマナナンダ・サラスワティ氏らが殺害されたことをきっかけに、犯行をキリスト教徒によるものだと主張するヒンドゥー教過激派が地元キリスト教徒に対する大規模な暴動を起こした。しかし、地元当局はサラスワティ氏の殺害は中国共産主義勢力によるものだったしている。
サラスワティ氏の殺害後には、ヒンドゥー教の暴徒がキリスト教徒の家屋や教会、児童養護施設などを次々に放火。放火件数は4500件に上り、180以上の教会が破壊された。これにより、3万人以上が避難を強いられ、オリッサ州当局の発表では60人以上が殺害された。
昨年8月だけでも827件の事件が発生し1万人以上が被害に遭ったされており、この内437件については警察も事件として受理。修道女への暴行事件も含めた約350件で現在も捜査が行われている。