米国メソジスト監督教会から派遣された宣教師らによってその礎が据えられた青山学院(東京都渋谷区、松澤建理事長)は今年、創立135周年を迎える。松澤理事長は今年を「改革の幕開けの年」と位置付け、昨年発表の「理事長声明」をもとに21世紀に相応しい教育内容の充実・発展に向けて様々な取り組みを行うと意気込みを示している。135周年を記念する行事は9月から本格的に始まり、11月の記念礼拝・式典など約30の行事・事業が予定されている。
■ 理事長声明で174課題を提示
「理事長声明」として松澤理事長は昨年、キリスト教信仰にもとづく建学の精神のもと「人間教育の再創造」「環境の整備」「戦略の強化」の3つを柱とした174項目の課題を提示した。経済恐慌に加え、少子化などの影響を受け厳しい経営環境にある今を好機と捉え、法人・教員・職員が一体となって課題に取り組んで行く。松澤理事長は、これらの課題をすべて実現すれば「21世紀に相応しい魅力と特色ある総合学園へと発展を遂げることができるものと確信している」と言う。
具体的な取り組みとしてすでに、理事長と教職員間による意見交換が実施されている。教職員からの率直な意見を吸い上げるため、これまでに職員とは計21回、教員とは設置学校ごとに計25回意見交換の場を設け、合わせて1260人以上の教職員と直接の対話をした。
また、昨年発表された政府の「留学生30万人計画」を受け、国際化にもさらに力を注いで行く方針。これまでは欧米を中心とした国際交流を行ってきたが、今後は他の地域にも目を向け、ベトナムやモンゴル、インド、ロシアなどの国々と多角的に交流を深めていくとしている。
米国メソジスト監督教会の信仰と祈りをもって派遣された宣教師たちにより始められた同学院について理事長は、「その長い歴史を顧みる時、順調に発展してきた時期だけでなく、大きな苦難の時代もあった。しかし、どのような艱難の中にあっても、諸先達はキリスト教信仰に基づく『建学の精神』を貫く道を選び、多くの方々の祈りと経済的な支援にも支えられ、今日の青山学院の礎を築いてくれた」と強調。「私ども青山学院は、単に学問的な知識を習得させるだけでなく、確かな倫理観と豊かな世界観を身につけた、『地の塩、世の光』として人に仕え、社会に仕える有為な人間を育成するという、神様より託された大きな使命を果たしていく所存」だとした。
■ 記念行事・事業など30以上
創立135周年を記念する行事としては、11月16日に創立記念礼拝・式典・祝賀会を行うほか、シンポジウムやコンサートといった約30の記念行事・事業を予定している。記念事業としてはすでに今年3月、同学院をイメージして作曲されペギー葉山が歌ってヒットした「学生時代」の歌碑を設置。今年9月には「青山学院スタジオ」が完成し、2012年には1〜4年までの全学年の一貫教育を実現させるための建物として「大学A棟(仮称)」が完成する予定だ。
学院全体で行う記念行事としては、オール青山ハンドベルコンサート(9月12日)、オール青山吹奏楽コンサート(11月21日)、クリスマス・ツリー点火祭(同27日)、オール青山メサイア公演(12月23日)などが今後行われる。一方、同大では今年、法学部が50周年、経済学部、英米文学科がそれぞれ60周年を迎え、学院135周年と合わせて記念行事が行われる。
このほか、初等部から大学・大学院までの在校生、保護者、校友、教職員及び関係者を対象とした第4回「青山歌壇」短歌の募集も行われている。テーマは「光」(自由テーマもあり)で、最優秀賞、優秀賞、佳作に選ばれた作品は学院の会報などで発表され、賞品も用意されている。