宗教倫理学会(JARE、落合仁司会長=同志社大学教授)は9月19日、「格差社会と人間の危機」をテーマに第10回学術大会を開催する。会場はキャンパスプラザ京都(同市下京区西洞院通塩小路下る)5階第1講義室。
今大会では研究発表のほか、公開シンポジウムとして山田昌弘氏(中央大学文学部教授)による講演「希望格差社会とは何か」と、同氏と氣多雅子氏(京都大学大学院文学研究科教授)、堀内みどり氏(天理大学おやさと研究所教授)の3人をパネリストとしたパネルディスカッションが行われる。
同学会は今回のテーマについて、現在の日本の労働人口の約3分の1が非正規雇用である状況を挙げ、容易に解雇させられる状況下にある彼らが人間としての尊厳を持って生きること自体危機にさらされていると指摘。「このような貧富の格差がもたらす人間の苦しみをどのように受けとめ、一人一人の人間の苦しみの中に人間の尊厳を回復する可能性を如何に見出すかは、そもそも宗教の答えるべき問いなのではないだろうか」と提起している。
同学会は宗教間の枠を超えて研究者たちが倫理問題を議論するため、▼宗教に関連する倫理的課題を幅広く考察し、その成果を共有する、▼異なる宗教的立場に立つ者同士が誠実に対話を積み重ねていく場を提供する、▼諸宗教間の対話のみならず、自然科学の諸分野との学際的な対話を積極的に進める、▼現代の社会状況の中で、両性の平等や、性のありかたを正面から見据えていく、▼社会に潜在する倫理的関心事に注意を払い、本学会で得られた学問的成果を社会に還元する、▼国際社会に対して適切な情報発信ができるよう必要な措置を講じていく、ことを目的として2000年に発足した。
過去には、第8・9回大会(07・08年)「祈りとモダニティ―宗教から現代を考える」、第6・7回大会(05・06年)「変化する世界における宗教―相克と調和」などをテーマにして、各宗教の研究者らが研究発表や講演を行って来た。
第10回大会は9月19日(土)午前9時半から。一般公開のシンポジウムは、午後1時から同4時半まで。終了後館員総会、懇談会が行われる。問い合わせは、大会実行委員会・同志社女子大学中村信博研究室(メール:[email protected])まで。