米聖公会ロサンゼルス教区は2日、今年12月に開かれる教区総会で選出される補佐主教2人の候補者として、これまでに6人の応募があり、内2人が同性愛者であることを公言している聖職者だと発表した。米聖公会では昨年12月、同性愛問題で離脱した保守派が新しく「北米聖公会」(ACNA)を発足されるなど分裂が決定的な状況で、今回の発表により国内ばかりではなく各国聖公会との間でもさらに緊張が高まっている。
同教区が同性愛者2人が候補として挙げられていることを発表したのは、ミネソタ教区の選挙委員会が同性愛者の聖職者を主教候補者3人のうちの1人として擁立すると公表した翌日のこと。ロサンゼルス教区は2日の発表で、これまでに補佐主教候補者として計6人の募集があり、内2人は同性愛公言者で、また2人のうち1人は1988年から「ライフ・パートナー」とともに生活していることを明らかにした。
03年に同性愛を公言している主教が誕生して以来、米聖公会とそのほかの国々の聖公会の間には緊張関係が続いており、現在は「分裂の危機」にある状態。
歴史的にキリスト教信仰に従う者は、聖書によれば同性愛は罪であると教えてきたが、自由主義的な信徒の間では聖書的な教えにみられる包括性が優先されるべきであり、同性愛に反対するような教えは無効であるとする主張がなされている。
しかし、保守派は教会が同性愛者を受け入れたとしても、教会の指導者としての立場に立つことは許されるべきでないとする信仰的立場を守っている。また、保守派は教会が同性愛者同士の関係に祝福を与えるべきではないとしており、そのような行為は罪的な行為を祝福することと等しいとしている。
ロサンゼルス教区の教区総会は12月4〜5日に開催され、候補者の中から補佐主教2人を選出する。候補者としての登録締め切りは今月14日で、締め切り日までに出揃った全候補者の名簿は9月25日に正式に発表される。一方、ミネソタ教区の主教選出は同州ミネアポリスで10月31日に行われる。