インド東部オリッサ州で昨年8月に発生し、以降数カ月にわたって激化したヒンドゥー教過激派による地元キリスト教徒に対する迫害で、昨年9月13日に同州サラグダ村で複数の家屋に放火するなどの違法行為を組織的に行ったとして5人に有罪判決が下され、禁固6年が確定した。
同事件を扱った早期結審裁判所で有罪を言い渡されたのは、ビスラ・カンハー、ダーバシャ・カンハー、ラビ・カンハー、グプテサー・カンハー、ナレシュ・カンハーの各被告5人。5人に対しては禁固刑のほかにも罰金が言い渡された。地元のトラスト・オブ・インディア紙によると、ほかに2人も起訴されていたが証拠不十分で無罪となった。6月末には同州ゴクハパダ在住のチャクラ・マリック被告の有罪が確定したが、これまでに少なくとも15人が証拠不十分で無罪になっているという。
昨年の暴動では8月だけで827件の事件があったとされており、1万人以上が被害に遭った。この内437件は警察が事件として認定しており、修道女への強姦事件も含めた354件で捜査が進められている。すでに暴動から1年が経っており、今後、早期結審裁判所が所管する事件では多数の判決が発表されると見られる。
インドでは昨年8月、ヒンドゥー教原理主義組織「世界ヒンドゥー協議会」(VHP)の指導者スワミ・ラックスマナナンダ・サラスワティ氏らが同じく反政府の毛沢東主義者らに殺害されたことをきっかけに、犯行がキリスト教徒によるものだと主張するヒンドゥー教過激派によって、地元キリスト教徒に対する大規模な暴動が発生した。
オリッサ州政府の報告によると暴動では、放火によりキリスト教徒の家屋約4500戸が焼失、180のキリスト教会が破壊され、少なくともキリスト教徒60人が殺害された。暴動が最も激しかった同州ではキリスト教徒3万人以上が避難した。現地のキリスト教指導者らは州政府による死者数の発表は意図的に少なくされているとして、依然として抗議している。
司法委員会はすでに暴動の調査を開始し、28ページにわたる中間報告書を州政府に提出している。しかし、報告書の中で、引退判事のサラト・チャンドラ氏が代表を務める同委員会は、最終的な提言をまとめるためには最低で後2年必要としている。
一方、暴動の実態解明と犯人に対する適正な処罰を目的に組織された同委であるが、提出された中間報告ではでは暴徒がヒンドゥー至上主義を象徴するサフロン色の服を着用していたことについて触れられておらず、またスワミ氏殺害に関係したとされている宗教団体や毛沢東主義者の武装勢力の責任についても言及がないなど核心的な点で不十分さが目立つと指摘されている。