どんな商売であっても、ビジネスであっても、その成功するための秘訣は、「人々のニーズを知り、それを満たす」ことにあるだろうと思います。
教会とは、いわゆる、お金を儲ける商売やビジネスではありません。しかし、もしかしたら多くの教会は、この原理・原則をほとんど無視して運営しているように思います。それは、私自身の反省にもなりますが、説教が難し過ぎますし、人々の現実的なニーズに無頓着です。ですから、教会に来ても、人々は自分のニーズが満たされないので、続けて教会に来る人が少ないのかも知れません。そして、もしかしたら、日本のリバイバルを妨げている一つの要因は、こういうところにあるのかも知れません。
政治団体与党に所属する公明党の母体となっている宗教は創価学会です。これは、日蓮系の新興宗教の一つですが、その特徴としては、他に対して排他的であり、強いプライドを持っています。この宗教の信者は、どちらかと言えば、労働者階級や底辺にいる人が大半を占めていますが、そういう人々に、強い自信感とプライドを与えています。こういうこと一つを取っても、人々のニーズを満たしています。また、教えがわかりやすく、現世ご利益的な部分を全面に出しています。その一つの現れとして、最近、公明党の提案によって、東京の新宿区では、来年度から児童手当が「中学3年生」までに拡大することが決まりました。これなどは、子を持つ親としては、私自身も非常にありがたいことだと感じます。この宗教は、人々のニーズを知り、それを満たすことで成功した一例だと言えると思います。
しかし、これと似た形で大きくなった教会があります。それは、韓国のソウルにあるヨイド純福音教会です。この教会を調べてみると、創価学会との驚くほどの類似点を見つけることが出来ます。信者の大半は、労働者階級や底辺にいる人たちです。しかし、そういう人たちが、この教会で信仰生活をすることによって、大きな自信を身につけ、大きな夢を持つようになって、堂々と胸を張って生きるようになっています。また、その語られるメッセージは、非常にわかりやすく、天国の福音を語りながらも、現世ご利益(アブラハムの祝福)を強調して語られていますし、人々のニーズに答えています。また、地域・区域の組織を持っていることも、非常に似ています。この教会も、人々のニーズを知り、それを福音で満たして行くことによって、大きく成長し、今日、世界最大級の教会として、大きな働きをしています。
イエス様は、福音書の中でタラントの喩話を語られましたが、その預けられたタラントを活用して、増やした人を、とても喜び、ほめられました。しかし、それを地に埋めて増やそうとしなかった人を叱責されました。この話は、お金の商売についてですが、このお金を「儲ける」というのは、漢字で書くと、「信者」という字になります。これは、お金儲けに限らず、私たち信者は、主から頂いた賜物を活用し、それを増やし、また、福音を人々のニーズに答えながら増え広がらせて行くことが、使命として与えられているのではないでしょうか?
そのために私たちは、毎日の生活の中で、家族や身近な隣人のニーズを知って、それを満たして行きたいと願うところからはじめて行きましょう。このことは、言葉を変えるならば「愛する」ということです。私たちは、愛の心を持って、人々のニーズを知り、イエス様の大きな愛と福音によって、そのニーズを具体的に満たして行きたいものです。私たちが、そのように儲ける人生を生きて行くならば、もちろん、天国に行った時、イエス様からのおほめの言葉を聞くことが出来、主の財産を共に預かる者とならせてもらえるでしょう。しかし、大切なのは、その生き方には、大きな現世ご利益があることを忘れてはいけません。それは、「私の人生は、本当に良かった。」と思うことが出来、幸福感を感じながら生きて行くことが出来ます。そして、主が私たちを通して福音を増え広げて下さるなんて、最高のご利益(祝福)ではないでしょうか? 祈りながら、その人生を歩まさせて頂きましょう。バイブル(聖書)には、『私の愛する兄弟たちよ。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは自分たちの労苦が、主にあってむだでないことを知っているのですから。』と書いてあります。祝福をお祈り致します。
◇菅野 直基(かんの なおき)=新宿福興教会牧師