「求め続けなさい。そうすれば与えられます。探し続けなさい。そうすれば見つかります。たたき続けなさい。そうすれば開かれます。だれであれ、求める者は受け、探す者は見つけ出し、たたく者には開かれます。」(マタイ7:7−8)
ベツレヘム・スチールの社長チャールズ・シュアブは、会社再建のために、有名な経営コンサルタントを頼みました。I・B・リーというのがその名前です。彼は"私のコンサルタント料は高いがそれでもいいですか?"と尋ねました。もちろんOK、会社のためならいくら払っても惜しくはありません。そこでチャールズ・シュアブの手に届いたのは、たった四行のアドバイスを書いた手紙が一枚と、二万ドルの請求書でした。彼は最初は怒りました。しかし、高いコンサルタント料を払ったのだからと思い直し、その紙を破る前に目を通して、実際に実行してみることにしました。
I・Bリーの提出した紙には、
1.前の日に、明日することを六つ紙に書きなさい。
2.する事に、優先順位をつけなさい。
3.会社に行ったら、その紙を机の上に出しなさい。
4.そして、優先番号順に実行しなさい。
と書かれていました。
チャールズ・シュアブは、騙されたと思って実行してみました。その結果、見事に会社は建て直され、売り上げがぐんぐん伸びたのです。
つまり、紙に書き、優先順位をつけ、実行する、この三段階で必ず事は実現するのです。これは基礎的な願望達成の方法です。
第一 願望を紙に書き出し、優先順位をつけましょう。自分の望むものが何かがはっきりしない限り、手に入れようがありません。紙に書いた願望を、声に出して読みあげるのです。黙読では駄目です。大声で読み上げることで、耳からも願望がインプットされて行きます。潜在意識の中に願望が染み込むまで願って下さい。
第二 あなたの願望が実現した状態を味わうことです。どんな願望でも、それをもう得ていると実感することができたら、すぐ実現します。あなたの望みが手に入った瞬間の、あのぞくぞくするような感覚を味わえたなら、後はゆったりとした気持ちで、実現を待つだけで十分です。
第三 実現した状態をはっきりとイメージに浮かべることです。イメージを助けるために絵や写真を用いることも大切です。新しい自動車が欲しいなら、その車種のカタログを壁に貼るといった具合に。そして、その感覚を味わうことが大切です。味わうことができたら、後は結果を待つだけです。
ここでナポレオン・ヒルの「巨富を築く13の条件」から、少しお話しましょう。
(1) 欲望・・・願望達成への出発点は、何よりも願いを持つことです。
欲望と言うとすぐに、どん欲とか、我欲とか、肉欲とか、悪いものを連想してしまいます。しかし、ここで言う欲望は、良いものです。あなたの望んでいる、よりなごやかな家庭生活のことです。仕事をバリバリやり遂げ成功者となることです。社会的にも認められ、輝かしい歴史に残るような業績を達成することです。その望みは何であってもかまいません。あなたの人生を向上させ、人を助け、社会を潤すような健全な欲望のことです。
ここでは、ひとつの例として、あなたが最もお金が欲しいと思っていると仮定してみましょう。あなたの家族を楽にさせ、望むものを手に入れ、寄付をし、将来の蓄えも増やしたいと望んでいるとします。このような望みは、一体どのようにして、達成できるのでしょうか。
先に願望達成の三つの段階を話しましたが、もう少し詳しく、お金と言う具体例で説明してみましょう。
願望を実現するための六つの原則
第一の原則・・・あなたが得たいと願う金額をはっきり決めて下さい。ただお金が欲しいというだけでは意味がありません。みんなそう思っています。
第二の原則・・・あなたが望む金額を手に入れるために、何をしますか。どんな代価を払いますか。はっきり決めることです。何もしないでお金を手に入れることはできません。
第三の原則・・・いつ頃までにそのお金を手に入れるか、その時期をはっきり決めることです。
第四の原則・・・願望達成のための明確な計画を立てて下さい。計画ができたら、すぐ実行することです。明日こそでは永久に実現できません。今すぐにできることからスタートすることです。
第五の原則・・・あんたが望む金額、望みを達成する時期、そのためにとるべき行動について、紙に書いて、あなたの目の付く所に貼って下さい。部屋の壁、自動車の中、洗面所、手帳など、いつでも見ることができるようにして下さい。
第六の原則・・・毎日、夜寝る前と、起きた時に、それを大きな声で、必ず二回読んで下さい。あまり長い時間でなくてもいいですから、できるだけ回数を多くすることです。それが秘訣なのです。
願望実現=願望の強さ×信仰の強さ×回数(時間)という公式ができます。
私は、願望実現の六つの原則で、ダイエットに成功しました。一月末に自動車事故で右足大腿部がひどい内出血状態になり、五月中旬に完治しました。怪我はたいしたことはなかったのですが、座って食べるだけの生活でしたので、体重が平均をオーバーしてしまいました。それで五月二十三日から、ダイエットに挑戦しました。まず目標体重を六十四キロ、そのために食べ過ぎやぜいたくをオミットしました。八月三十一日を達成日にし、十日ごとに目標を競っていきました。それを手帳に書き、いつも体重計でチェックし、ことあるごとに"私の理想体重は六十四キロです"と、笑われても冷やかされても言い続けました。今、私は目標を達成した喜びでいっぱいです。
確かに求める者は得ます。祈りは答えられます。単なる棚からぼた餅式の祈りではなく、人生を向上させ、引き上げる力強い願望実現の道があります。
(2)自信・・・ナポレオン・ヒルは「自信」についてこう言っています。
"自信とは、意識的な自己暗示の原則によって、自分の潜在意識、つまり無意識という心に、暗示と指令を繰り返し与える結果生じる、一種の精神状態である"
意識的な自己暗示は、ちょうどすばらしい自叙伝を書くことと同じです。あなたが一番望んでいることを達成した自分の姿を、なんども繰り返し描くことによって、あなたは成功するために必要な「自信」を培っていくのです。
自信を養う五つの公式
公式一 私は人生の目的を達成する能力があることを知っている。だから、私はその目的達成のために必要な活動を、絶えず続けることを決心し、それをやり遂げることを誓います。
公式二 私は、自分が心で強く思うことは、肉体的な活動に現われ、それが徐々に具体的な事実となっていくことを知っています。
公式三 私は、自己暗示の原則によって、自分が絶えず抱いている願望は必ず、なんらかの具体的手段によって、遂には実現することを知っています。
公式四 私は、人生における目的と目標を紙に書き、宣言します。
公式五 どんな富も名誉も地位も、それが真理と正義に基づくものでなければならないことを、私は知っています。だから私はすべての人に利益をもたらすことのみを実行します。私は、憎しみやねたみ、嫉妬や利己心、あるいは皮肉や批判という悪感情を取り除き、人間に対する愛を育みます。私は、自分が自分を受け入れるように、人も私を受け入れてくれることを知っています。
ナポレオン・ヒルは以下のような条件を述べているので、アウトラインだけ紹介しておきます。
(3)自己暗示・・・自己暗示をより効果的にすると、潜在意識という精神作用が働いて、情報、知識、および経験をいつの間にか蓄積できるのです。
(4)専門知識・・・専門の知識を、あなたの成功のために、いかに活用するかを知っていることは、大変得です。
(5)創造力・・・創造力は精神の作業場です。将来の目標達成にとって、欠かせない重要な要素です。
(6)組織だった計画・・・行動とは、願望の確かな計画予定表に基づいた成果です。
(7)決断力・・・成功とは、意志決定の直接の結果です。
(8)持続性・・・ねばり強さこそ、物事を達成する秘訣です。継続は力なのです。
(9)熱意・・・エンスージアズムは奇蹟を生みます。熱意と情熱こそ、あなたの力です。
(10)潜在意識・・・・本当のあなたという金庫から、人格という形が現われます。
(11)頭脳・・・思考、行動および才能のすべては、ここに貯蔵されています。あなたはこれを活用すべきです。
(12)第六感・・・インスピレーションは能力以上のものです。祈りによって深まります。
(13)協力者・・・協力者とは、明確な目標を達成するために集まって来た複数の人数の知識と努力と協調の精神のことです。
願望実現のために、願望を書く時のちょっとしたコツをお教えします。
a.明るい言葉を使って下さい。
b.肯定的な言葉を使うべきです。
c.短くて具体的な文章にすることです。
d.リズム感のある、響きの良い言葉を使うことです。
e.疑い深い人は、現在進行形にしたら良いでしょう。
f.最も強い言葉は、実現したという完了形で、これが一番良いのです。
g.感謝の言葉、愛の言葉を入れるともっと良いでしょう。
ミクロネシアのアバイング島で、フランク・ウッドワード夫妻は宣教活動と共に、近隣諸島から子供たちを迎え、ミッション・スクールを開いていました。クリスマスが近くなった頃、子供たちが"先生、ぼくたちの両親や兄弟たちを招いて、クリスマス・パーティーを開いて下さい"と申し出ました。先生は困りました。この願いを入れれば、四百人からの親族が来て、総勢五百人以上の食事を用意しなければなりません。島にはそんな食物はなく、定期船は二ヶ月に一回くらいしか来ず、どんなに考えても間に合いません。不可能です。しかし、子供たちは"先生、イエス様は一度に五千人以上の人々を、わずか五つのパンと二匹の魚で養いました。ぼくたちは信じて祈ります"
生徒たちはこうして祈り始めました。同時に、海に出て熱心に漁を始めましたが、天候悪化のためほとんど収穫がありません。クリスマスは目前です。子供たちは毎朝、奇蹟の神を信じて祈りました。
遂に何の収穫もないまま、クリスマスの前日になりました。久しぶりに晴れわたった海に、少年たちは巨大なものを発見したのです。"クジラだ! クジラにちがいない!"クジラは海岸に向かって流されて来ました。ロープを取り出し、少年たちが群がりました。九メートルもある巨体が、午後から夕方にかけ忙しく解体され、煮たり焼いたり用意が整えられました。翌日、カヌーの群が集まって来ました。肉親との面会で島中が喜びで湧きかえり、クリスマス・パーティーでは五百人がお腹いっぱい食べ、帰りのみやげにもなりました。
「求め続けなさい。そうすれば与えられます。」(マタイ7:7)という言葉は、今日も真実なのです。
榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。
このコラムで紹介する著書「輝き・可能性への変身」(2000年、プレイズ出版)は、同師が「ラジオ番組 希望の声」シリーズとして出版したもの。机上の空論ではなく、著者自身がその生涯において実現し、今も継続している生きた証しを紹介している。