全盲のテノール歌手新垣勉さんのディナーショーが5月19日、東京都千代田区のホテルニューオータニ東京で開かれる。「盲目」、「天涯孤独」というハンディキャップを持ちながら、日本人離れした美しく明るい歌声を持つ新垣さん。07年に小池徹平さんの主演でその半生がドラマ化。08年には中国の上海赤十字から栄誉賞を授賞した。ディナーショーはインターナショナルVIPクラブ赤坂が主催する。
新垣さんは沖縄県読谷村で52年、メキシコ系アメリカ人で当時沖縄米軍兵だった父と日本人の母との間に生まれる。生後まもなく助産婦の過ちにより家畜を洗う劇薬を点眼され失明。さらに1歳で両親が離婚し、母方の祖母のもとで育てられるが14歳で祖母も他界、天涯孤独となる。その後は母の親戚のもとに身を寄せるが、自らの不幸な人生を恨んで井戸に身を投じて自殺しようとしたこともあったという。
そんな時にラジオから流れてきた賛美歌が新垣さんの人生を変えることに。賛美歌に感銘を受けた新垣さんは教会に足を運び、一人の牧師と出会う。新垣さんが胸のうちを明かすと、牧師は涙を流してその話に聴き入り、その後は頻繁に新垣さんを自宅に招くようになった。新垣さんはそこで神の愛に触れ、自らも牧師になることを決意。沖縄県立盲学校、東京キリスト教短期大学卒業後、西南学院大学神学部へ進学した。
在学中にマリオ・デル・モナコを育てた名ヴォイス・トレーナーのA.バランドーニ氏に歌声を絶賛され、本格的な声楽の学びを始める。卒業後も音楽への思いを貫き、34歳で武蔵野音楽大学声楽科に進学、同大学院を修了。現在は国内外でリサイタルを開く他、学校、教会、美術館、病院などで公演会を意欲的に行っている。
03年7月にはサントリーホールで美智子皇后陛下ご臨席の御前演奏会を開催。04年2月には日本武道館で戦地医療援助のためのチャリティ・コンサートを成功させた。
シングル「千の風になって」(ビクターエンタテインメント)のほか、大ヒットしたアルバム「さとうきび畑」(アットマーク)や著書「ひとつのいのち、ささえることば」(マガジンハウス)などがある。
申し込み、問い合わせは、インターナショナルVIPクラブ赤坂(090・7009・3547、担当:宮坂雅夫)。