7歳の少年フェデル(本名は伏せてある)は、母親と2人暮らしだ。彼らは、ウクライナのために出征して戦う兄マクシムの帰りを心待ちにしている。
フェデルの父親は、彼が4歳のとき、がんで亡くなった。それ以来、母は息子たちを養うため、必死に働いてきた。そんな彼女だが、マクシムが出征したときには、大泣きして息子の身を案じたのだ。
去年のクリスマス、学校の友達がフェデルに言った。「何でも神様にお願いすればいいんだよ」と。そこでフェデルは、兄が戦争から帰ってくるようにと純粋な気持ちを祈りとして神に伝えた。しかし、神様が祈りに応えてくれなかったので、フィデルは動揺した。
「神様は僕の声を聞いていないのかな」と、その気持ちを友人に打ち明けた。そこで友人は「神様はすぐに応えてくれないこともあるんだよ」と説明したのだ。
ある日、友人からフェデルに電話があり、子どもの聖書キャンプに誘われた。フィデルの母親は二つ返事でこれを許可してくれた。キャンプで、フィデルは神についての話を聞いた。「ある女の人が、聖書の話をたくさんしてくれたんだ。今でもよく覚えているよ。教えてもらったことは全部覚えているんだ」
フェデルは今、自分の聖書を持っている。彼は友人たちと神について話す。彼と彼の母親は、村の他の信者たちと一緒に礼拝し、聖書を学び、祈っているのだ。「僕もママも、マクシムが戦争から帰ってくるのを待っているんだ。夏の聖書キャンプと、聖書から学んでいる全てのことを神様に感謝しているんだよ」
小さな幼子の信仰を通して、また戦争という悲しみを通して、親子は確実に愛なる神の手に導かれているのである。1日も早い戦争の終結と、兄マキシムや全ての兵士たちの無事の帰還を求めよう。そして、平和のうちに福音の種がウクライナの地で蒔(ま)かれ、豊かな収穫となるように祈っていただきたい。
■ ウクライナの宗教人口
正教 61・2%
プロテスタント 5・8%
カトリック 10・1%
無神論 19・5%
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