イランでは、教会中心の聖書翻訳モデルが聖書翻訳と伝道に革命をもたらしている。宣教団体「アンフォールディングワード(開かれた御言葉)」は、イランの現地の信者にコンピューターツールを提供しながら聖書翻訳を進めている。このようにして、神の言葉を彼らの心の言語に翻訳することを可能にしているのだ。実はこの聖書翻訳が進むにつれて、イランの信者たちは自分たちの共同体内で、大胆に神の言葉を分かち合うようになっているという。
アンフォールディングワードの代表であるデーン氏は、その影響について次のように語る。「信者たちが自分たちで聖書を翻訳するとき、翻訳した聖書に対して所有感と愛着、そして興奮を感じ、それが自然と他の人々と分かち合うことにつながっているのです」
ある女性信者のグレイス(本名は伏せてある)の働きは、今起きている変革のすさまじさを物語っている。しかもこのグレイスは、信者になったばかりなのだ。彼女はちょうど1年前にイエスについて聞き、信者になる決断をした。すると彼女はすぐに『オープン・バイブル・ストーリー』を使って福音を伝え始めた。彼女の信仰への情熱は、600人以上に福音を伝え、そのうちの80人以上がキリストに導かれることにつながったのだ。
再三このレポートでも伝えている通り、イランという国で信仰を持つことは簡単ではない。ところがグレイスは、直面するリスクにもかかわらず大胆に福音を伝えている。「聖書を通して神が自分の言語で語るのを彼らが初めて聞くとき、彼らの中に火がつくのです」とデーン氏は説明する。
アンフォールディングワードが提供する『オープン・バイブル・ストーリー』とは、聖書の主要な物語を簡潔にまとめた冊子で、特に聖書になじみのない人々や、聖書が母国語で読めない地域の人々に向けて作られている。この冊子は、聖書の重要な出来事や教えを分かりやすく伝えるために、イラスト付きの短い物語形式で構成されている。
特に、聖書がまだ完全に翻訳されていない言語や、キリスト教が少数派である地域での伝道や教育に役立っている。現地の信者が自分たちの言語で福音を学び、そして伝えることを効果的に助けている。グレイスは、このツールを使って福音を広め、多くの人々をキリストに導いたのだ。
自分たちの言葉に翻訳された神の言葉には、特別な愛着があるようだ。母国語で聖書を読むことが、これほどまでに人々のハートに火をつけるのである。翻訳者にとってはうれしい限りに違いない。
イランで、ますます聖書翻訳が進み、それに火をつけられた形の伝道がさらに豊かに実を結ぶように祈っていただきたい。
■ イランの宗教人口
イスラム 37・2%
キリスト教 1・5%
無宗教 22・2%
ユダヤ教 0・02%
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