戦後文学の第一人者で、キリスト教作家である椎名麟三(本名・大坪昇)の業績を記念して27日午後2時半から、シンポジウム「椎名文学を未来へ」が明治学院大学で開催される。
パネリストは、作家の森禮子氏、橋本茂氏(明治学院大教授)、文芸評論家の富岡幸一郎氏(関東学院大教授)。文芸評論家の小林孝吉氏が司会を務める。また、雑誌「新潮」に発表されたエッセイ「かぼちゃの花」の朗読のほか、椎名文学の最高傑作と評される「半端者の反抗」の朗読劇も行われる。
1911(明治44)年、兵庫県生まれ。家庭の事情から困窮し14歳で家出。姫路中学を中退し、大阪で果物屋や見習いコックなどの職を転々とした。1928(昭和3)年に宇治川電気(現・山陽電鉄)に入社し、日本共産党に入党。1931(昭和6)年の一斉検挙で逮捕され、獄中で読んだニーチェの「この人を見よ」をきっかけに転向し、文学を志す。1933(昭和8)年に出獄し、1947年(昭和22)発表の「深夜の酒宴」で戦後文学の代表作家となった。
ドストエフスキーの作品をきっかけにイエス・キリストに出会い、1950(昭和25)年のクリスマス、39歳のときに受洗。以後、キリスト教作家として活躍した。代表作「懲役人の告発」や「美しい女」のほか、「私のドストエフスキー体験」、「私の聖書物語」などの作品がある。