イラクの裁判所が、キリスト教徒の母親エルビン・ジョセフさんとその3人の子どもたちに対し、イスラム教への改宗を命じる判決を下した。判決は、両親のどちらかがイスラム教に改宗した場合、18歳以下の子どもも同じく改宗しなければならないとするイラクの「個人身分法」に基づいて出された。米迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(英語)が8日、伝えた。
イラクのクルド人自治区ドホークに住むジョセフさんは、自身の母親が離婚後、イスラム教徒の男性と再婚し、イスラム教に改宗していたことが最近明らかになったため、この法的な苦境に巻き込まれることになった。ジョセフさんの母親が再婚したのは、ジョセフさんが15歳の時だった。
ジョゼフさんは、地元メディア「ルドー」(英語)に次のように語った。
「私はキリスト教徒です。キリスト教徒の男性と結婚しています。キリスト教徒の子どもも3人います。教育は私たちの言語で受けました。全ての公的な書類で、私はキリスト教徒となっています。私たちの結婚は教会によって登録されています」
それにもかかわらず、1959年に制定されたこの法律は、ジョゼフさんとその子どもたちに、イスラム教への改宗を求める内容になっている。
また、この法律の影響は、単なる宗教的アイデンティティーにとどまらず、シャリア(イスラム法)の規定による婚姻権、相続権、親権にまで影響を及ぼす。そのため、ジョセフさんはキリスト教徒の夫との婚姻関係を維持する点においても、法的な問題に直面している。
ジョセフさんの場合、国民IDカードを取得しようとした際に、この問題が明らかになったという。夫のサミ・パトロスさんは、国民IDカードの発行事務所で直面した状況を次のように語った。
「あなたの義理の母親(ジョセフさんの母親)がイスラム教に改宗しているから、あなたの妻もイスラム教徒になるべきだと言われました。これは私の子どもたちにも当てはまり、彼らの宗教もキリスト教からイスラム教に変更するべきだと言うのです」