イラクのアブドル・ラティフ・ラシード大統領が、同国最大のキリスト教会であるカルデア典礼カトリック教会のルイス・ラファエル・サコ枢機卿を、同教会トップの立場であるバビロン総大司教と認めた過去の法令を取り消したことを受け、サコ枢機卿は、ラシード大統領の決定の無効化を求める訴えを最高裁に起こした。
サコ枢機卿は2013年、同教会トップの立場であるバビロン総大司教に選出された。ラシード大統領の前任者であるジャラル・タラバニ前大統領は同年、サコ枢機卿を総大司教として認める法令を出した。しかし、ラシード大統領は今年7月になって、この法令を取り消す決定をした。
サコ枢機卿はカトリック支援団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN)に対し、自身は、人権についての発言をやめさせ、教会の権力を弱め、教会の財産を支配しようとしてきた政治的キャンペーンの犠牲者だと語った。
「法令を撤回することは醜悪です。15世紀にわたり、教会の長として、また教会の財産を管理する者として総大司教を認める法令が存在していました。この法令を撤回することは、教会にとって屈辱です。この動きの背後にいる人々は、教会の財産に手をつけ、教会の権威を離れてこれらの財産を管理しようとしています。私たちはそれを受け入れることはできません」
サコ枢機卿は、法令の取り消しを受け、総大司教座のある首都バグダッドを去り、現在は同国北部のクルド人自治区の主都アルビルにいる。
サコ枢機卿は最高裁に訴状を提出し、自身を総大司教と認める新たな法令を出すよう求めている。
「政令がなければ、国家に関する限り、私には何の権利もありません。それは私の道徳的権威を抹殺するようなものです。不快なことです」
一方、サコ枢機卿は、自身には広範な支持が寄せられているとし、これらに励まされていると語った。
「キリスト教徒だけでなく、多くのイスラム教徒からも連帯の表明を受けました。イラクのキリスト教徒は、自分たちは買収されることはないと認識しています。他の人たちと同じように、彼らにも尊厳と権利があるのです」