イスラム教の強い中東某国で働くある宣教師夫婦が、娘の世話をしてくれるベビーシッターについて祈ったところ、思いがけない形でうれしい答えを受け取った。これは、その宣教師夫人による証しである。
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私は娘をベビーベッドに寝かせてから、つま先立ちでそっと子ども部屋を出て居間に行き、ソファーに座っていた夫の隣に腰を下ろしました。いつもは娘が寝付くとすぐに寝るのですが、私たちは翌日の午前中にベビーシッター紹介所に予約を入れていたので、その夜は、夫と共に祈る時間が必要だったのです。
私たちが中東に移って間もなく生まれたかわいい娘のセレステを、親戚が世話してくれたのは本当に恵まれていました。しかし結局、彼らは間もなく米国に帰国することになったのです。
私たち夫婦は、新しい国ですでに始めていたミニストリーや語学学習を続けるために助けが必要だということをよく分かっていました。しかし、娘の世話をしてくれる信頼できる人が見つかるかどうか、とても心配していたのです。
私は解決策を求めて祈りながら床のじゅうたんに目をやると、睡魔に襲われました。目を閉じたら眠ってしまいそうで怖かったのですが、それでも祈りました。「主よ、正しい人に出会えるように導いてください」と。
翌日、夫と私はシッター紹介所を訪ねました。小さな部屋に通されると、そこには女性たちがずらりと並んでいました。この世界では当たり前のことですが、これほど気まずい思いをしたのは初めてでした。
私は自己紹介をたどたどしくこなし、不安を募らせながらも列に並んだ女性たちを素早く見定めようとしました。そしてジャンナという女性のところにたどり着いたのです。彼女はほほ笑みながらこう言いました。「私の名前は天国という意味よ」。「本当に?」と私は聞き返しました。私の不安はすっかり消えて、主が働いておられることを感じ始めました。「娘の名前のセレステも天国を意味するのよ」。妊娠中、私たちはこの名前に導かれ、娘がキリストと永遠の故郷に焦点を合わせ続け、生涯これを忘れないようにと願ってこの名前を付けたのです。
私は「ジャンナという名前にも同じような意味があるのかしら」と思いました。「あなたのことを教えてちょうだい」私がそう言うと、彼女は最初、子どもたちの世話をした経験を語ってくれました。そして、穏やかなほほ笑みを浮かべながら、なんと彼女は自分が信者であることを明かしてくれたのです。「クリスチャンの家庭で働けることをずっと祈っていたんです」。ジャンナがそっと告げたとき、私は信じられませんでした。
しかし何も驚くことはありません。大きなことであろうと小さなことであろうと、神はいつも忠実であられるのです。今回も主はそれを証明してくださいました。何ということでしょう、私たちはジャンナの祈りに対する答えでした。そして彼女もまた、私たちの祈りに対する答えだったのです!
ジャンナと雇用契約を結ぶと、彼女は引っ越してきました。以来、私たちの生活は大きく変わりました。彼女の子守りは、愛に満ちていました。そのおかげで私たち夫婦は、子育て1年目を難なく乗り切っただけではなく、これを通して大きく成長することができたのです。
ジャンナは私たちに心の余裕と休息を与えてくれたので、私たちは主に召された奉仕を余念なくこなすことができました。この数カ月で、私たちは地元のコミュニティーともっと関わることができ、人間関係を築くことができたのです。
私たちを中東に導き連れてこられた主は、私たち夫婦にセレステを与え、ジャンナと私たちを出会えるようにしてくださったのです。そして主は、将来に向けてさらに多くの計画と配慮を用意してくださっていると、今は以前にも増して確信しています。
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何と励ましを受ける証しだろうか。主は、ご自分に身をささげた奉仕者の必要を全て備えてくださっている。今回の証しでは、宣教師夫妻であるセレステの両親の祈りと、中東の国には珍しいキリスト信者のジャンナの祈りに、神が、必要だったお互いを結び合わせる形で応えてくださったのだ。神の国と神の義とを第一に求める者に必要の一切を備えてくださる神に、私たちも信頼して祈り求めよう。
中東でこのようなみずみずしく生きた証しが、人々をなお一層キリストへと導くように祈っていただきたい。
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