暗い共産主義時代の影を背負う中央欧州の国チェコは、1989年の無血革命でソ連の影響下から離れ、93年にはスロバキアから別れてチェコ共和国となり、2004年には欧州連合(EU)に加盟した。
同国は、今では自由主義諸国の一員だが、共産主義時代の影響から無神論者が多い。この時代、国内の秘密警察網が整備強化され、国民同士の監視と密告が奨励され、当時のチェコは東ドイツと並んで、東欧で最悪の警察国家の悪名が高かった。これにより人々は相互不信に陥り、プロテスタント教会では信者や聖職者の間での密告が相次ぎ、結果として教会組織は自滅し、宗教不信から無神論者が増えていったのだ。
国民の70%以上が自分は無宗教だと考えている。その一方で、占いを利用したり、さまざまなオカルトやスピリチュアルな考え方をする者も少なくない。
市場経済への移行が成功したことはチェコにとって良かったが、最も弱い立場にある人々には経済的なストレスがかかっている。犯罪、性的不道徳、薬物乱用、うつ病、自殺、これらは全て、共産主義時代よりも現在の方が顕著に高い。チェコを覆っている霊的な重苦しさが取り除かれるよう祈ろう。
社会の変化はミニストリーの新たな機会を生み出す。高齢化する人口と新しい移民、特にロシア語を話す人々と東アジア、東南アジアの人々は、愛に満ちた働きかけを必要としている。これらの人々が福音によって変えられるよう祈っていただきたい。
■ チェコの宗教人口
カトリック 20・1%
プロテスタント 2・8%
イスラム 0・1%
無神論 71・4%
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