ピューリサーチの報告によると、欧州に集中している正教徒は、世界人口に占める割合に対して減少傾向にあるが、エチオピアは高い信仰心を持ち、正教が成長している。
過去1世紀の間に、世界中の正教徒人口は2倍以上に増加し、現在では2億6千万人近くに達しており、全キリスト教徒の12%を占め、世界人口に対しては4%を占める。ロシアだけでも正教徒は1億人を超え、ソビエト連邦崩壊後にロシア正教は急激な復活を遂げた。
しかし、こうした絶対数の増加にもかかわらず、プロテスタント、カトリック、非キリスト教徒の伸びの方がはるかに速いため、世界のキリスト教徒人口全体に占める正教徒の割合は、結果的に減少しているのだ。
キリスト教人口全体に占める正教会の割合の低下は、歴史的に正教会の中心地であった東欧のスラブ系人口の減少と関係している。
正教がコンスタンチノープル(現在のイスタンブール)からユーラシア大陸に広がる一方で、西欧からはプロテスタントやカトリックの宣教師が、地中海や大西洋を渡って海外で活躍した。
覇権的な帝国主義時代のポルトガル、スペイン、オランダ、大英帝国などは、西欧のキリスト教(カトリックとプロテスタント)をサハラ以南のアフリカ、東アジア、アメリカ大陸に伝えた。そのため、全体としての正教会の宣教活動は、ユーラシア大陸以外では限られたものとなったのだ。
今日、東欧以外で正教会のキリスト教徒人口が最も多いのはエチオピアだ。何世紀もの歴史を持つエチオピア正教のテワヘド教会の信者数は、推定3600万人で、世界の正教会総人口の14%近くを占めている。この東アフリカにおける正教の前哨基地には、2つの大きな特徴が認められる。
第一にエチオピアの正教徒人口は、過去100年間で欧州をはるかに上回るペースで増加している。第二にエチオピアの正教徒は、欧州の正教徒よりも宗教的で信仰心が強い。
ピュー・リサーチセンターの調査によれば、欧州の人々はラテンアメリカやサハラ以南のアフリカの人々よりも宗教性や信仰心が低いという、より広範なパターンと一致している。これは、欧州のキリスト教徒だけでなく欧州のイスラム教徒にも当てはまり、欧州のイスラム教徒は全体として世界の他の地域のイスラム教徒よりも宗教的信仰心が低いようだ。
近年、キリスト教の霊的な中心地は、かつての欧米の植民地であったアジア、アフリカ、南米にシフトした。一方で、これらかつての植民地地域から立ち上がって、欧州のかつての宗主国へ赴く宣教師が増えている。
このような福音の逆輸入ともいうべき現象の利点は、植民地支配を受けたけがの功名か、これらの国は宗主国に対して文化的言語的な壁が低いことにある(例えば、南米のポルトガル・スペイン語を話す国は、欧州のラテン系の国と親和性が高い)。
神は、植民地支配という人間の欲望によってかき立てられた悪をも用いて、それを転じて、福音宣教の推進力とされる。
第三世界と呼ばれるアジア、アフリカ、南米で活発化する霊性が、霊的衰退の進む先進国に霊的な好影響を及ぼして、世界宣教が進むように祈っていただきたい。