クリスチャン作家・三浦綾子の小説『泥流地帯』の映画化プロジェクトに、2009年の米アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の滝田洋二郎監督が、映画の企画で協力することが明らかになった。
19日には東京都内で、作品の舞台となった北海道上富良野町と、映画の企画を行う映像製作会社「エー・フィルムズ」、知的財産マネジメント会社「MiPS」の3者による映画化に向けた協定の調印式が行われた。
映画化プロジェクトは、上富良野町と同町の有志らによる「『泥流地帯』映画化を進める会」などが2018年から進めている。これまで別の映像製作会社2社と協定を結び映画化を目指してきたが、いずれも会社側の経営難により白紙に。今回が3度目の挑戦となる。
過去の2社とは、映画の企画から製作までをまとめて依頼する形で協定を結んできたが、いずれも計画が頓挫してしまった経験を踏まえ、今回は企画に関する内容のみで協定を締結。製作は企画が固まった後、新たな協定を結ぶ形で進めていくという。
滝田氏は、エー・フィルムズ系列の芸能プロダクション「エー・チーム」に所属していたことから、企画への協力が決まった。一方、今回の協定は企画に関するもののみであるため、滝田氏自身が監督を務めるかは、現段階では白紙の状態だという。
『泥流地帯』は、1926(大正15)年に発生した十勝岳噴火を描いた作品。噴火により発生した泥流により、苦労して切り開いた田畑を奪われ、家族を失うも、再び鍬(くわ)を手にして復興に挑む若者たちの青春を描く。76年から北海道新聞で連載され、新潮社から『泥流地帯』『続泥流地帯』の2冊が刊行されている。映画は、噴火から100年となる2026年の公開を目指す。