来年の三浦綾子生誕100年に向けた記念事業の一環として、三浦綾子初の歴史長編小説『細川ガラシャ夫人』を収録したオーディオブックがこのほど刊行された。
『細川ガラシャ夫人』は、安土桃山時代の大名、細川忠興の夫人で、キリスト教の洗礼を受けたことで知られる細川ガラシャ(本名:玉子、1563~1600)が、実の親子も殺し合う戦国の世にあって、愛と信仰に殉じた生涯を浮き彫りにした作品。『主婦の友』に1973年1月号から75年5月号まで連載された。オーディオブックには、86年に刊行された新潮文庫版の上下巻がすべて収録されている。
ガラシャ(伽羅奢)は洗礼名。明智光秀の娘として何不自由なく育てられた玉子は、16歳で織田信長の命令により細川忠興のもとに嫁ぐ。女性が男性の所有物でしかなく、政略の道具として使われた時代に、玉子は真の人間らしい生き方を求めていく。時代と宿命に翻弄されながらも、愛と信仰を光に生き抜いた玉子の姿とその言葉を朗読で味わうことができる。