出入国管理・難民認定法(入管難民法)の改定案が9日、参議院本会議で可決・成立したことを受け、「外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会」(外キ協)は、同日付の「入管難民法の改悪に抗議し、難民・移民と共に生きる教会共同声明」を発表した。
声明は、難民認定率が1パーセント以下とされる日本の難民認定制度について、「『保護すべき人』を保護せず機能していない」と指摘。「本来ならば世界人権宣言および難民条約に基づいて難民認定制度を抜本的に改正し、日本がすでに加盟している国際人権諸条約に沿って入管収容制度を改正すべきなのに、政府はそれをせずに、改悪法は『難民申請者』や、在留資格を失った『無登録外国人』(非正規滞在者)を、さらに窮地に追い込む」として、成立した改定案を「外国人に対する悪意に満ちた『稀代の悪法』」だと強く非難している。
声明は、一部の所属教会や教区の委員会が賛同を示している日本基督教団の公式サイトに掲載された。14日現在、外国人住民の権利を求めて活動する各地のキリスト教連絡会(外キ連)や、マイノリティ宣教センター、日本キリスト教協議会(NCC)役員会、日本カトリック正義と平和協議会、日本聖公会正義と平和委員会、日本YWCA、在日大韓基督教会社会委員会、日本キリスト教会人権委員会、日本福音ルーテル教会社会委員会など、67団体が賛同している。
外キ教は、声明の主な目的として、成立した改定案がどのようにマイノリティー(少数者)の命を奪い、いかに国際人権法に違反するものであるかを教会の中に伝えていくことにあると説明。声明に対する賛同は、6月末を最終締め切りとして、各教団の教区や教会、関係諸団体に呼びかけていくとしている。
これに先立ち、NCCの金性済(キム・ソンジェ)総幹事は、改定案が成立する前日の8日、岸田文雄首相に対し、改定案の即時撤回を求める要請文を送付。また、日本福音ルーテル教会社会委員会も9日、岸田首相、斎藤健法相、菊池浩出入国在留管理庁長官に対し、改定案に抗議し、外国人住民基本法の制定を求める要望書を送付している。