栃木県のキリスト教団体有志による政教分離を守る会が11日、日本バプテスト連盟・宇都宮キリスト教会(宇都宮市京町)で、裁判員制度反対をテーマに集会を開催した。集会には、牧師を含む約70人が参加。キリスト教信者で裁判員制度反対の立場を取る井堀哲弁護士が講演した。地元の下野新聞が伝えた。
同紙によれば、井堀弁護士は「死刑判決など自分の信念に反する決定を強いられるおそれがあり、思想・良心の自由の侵害だ」などと語り、判決の妥当性や国民の負担などについて法律的観点から指摘した。一方で、「イエス様は人が人を裁くことに非常に慎重。裁判員制度に安易に賛成すべきでない」などと自身の信仰も交えて考えを語った。
裁判員制度反対の立場を取る守る会ではあるが、キリスト教徒として同制度に賛成するか反対するかはあくまで個人の問題だとしている。
カトリック中央協議会はこれまでの報道で、「私的な裁きは認められない」としたが、「法治国家の正式な裁判制度まで否定はしていない」と、同制度には反対しないことを姿勢を示し、賛成・反対にかかわらず、被告の人権への配慮と国民の十分な理解が必要だと指摘している。
一方、裁判員制度の歴史が長い英国やドイツでは、聖職者の裁判への参加が法律で禁止されるなどの措置がとられている。
日本では今年5月21日から正式に導入が始まり、実際に裁判員が参加して行われる裁判は今年7月頃から始まる見通し。同制度を定める「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)」では、宗教上の理由などにより「裁判参加で精神上の重大な不利益が生じる」と判断された場合は、辞退が認められるなど、信教の自由に配慮された仕組みも存在している。