【カンタベリー(英)=ENI・CJC】キャロライン・ペトリーさん(45)は10歳のころから熱心なキリスト者、ロンドン西方225キロにあるウェストン・スーパー・メアで看護師として働いていたが、足の怪我に苦しんでいる高齢の患者のために祈ろうとしたことが問題となり、停職処分を受け、さらに免職される可能性も出てきた。
「彼女の行動については介護側と患者の見解の双方から判断しなければならない」とノースサマセット・プライマリー・ケア・トラストのリチャード・フォーショー所長は言う。
『看護師・助産師協議会行動規範』は、看護師が「健康と関係のない問題で、専門的な立ち場を利用してはならない」と規定している。同所長は「彼女が、職場で彼女の信仰を広めることについて警告されたのは、これが初めてではない。これからのことは予測できない。私たちスタッフの見解と同様に私たちの患者の見解を重んじなければならない」と言う。
2児の母でもあるペトリーーさんは、癌による母の死の後に、英国国教会からメソジスト教会に転籍した。
今回の事件を英メディアも注目している。デーリーメール紙は「祈って迫害される」と大見出しで報じ、論説では「現代の英国の組織が、信仰やライフスタイルを保護することを決めたのはなぜか…それがキリスト教ではないのに」と疑問を掲げた。
デイリー・テレグラフ紙は「高齢の患者の回復のために祈ることを申し出た看護師が停職」と言う見出しで事態を報じた。
患者はメイ・フィッペン氏(79)。自宅で12月15日、ペトリーさんが足を処置し包帯した後で、祈っても良いか尋ねたが、その申し出を辞退した。「祈りがどうというのではない。看護師が祈るということが奇妙で驚いた」と言う同氏もキリスト者で、常に教会に通っている。
翌日、ペトリーさんは、同僚からフィッペン氏が祈るとの申し出に「驚いた」と言っていたことが伝えられ、その後、停職処分を受けた。彼女はジャーナリストに「信じられないことだ。私は患者を動揺させはしなかった。尋ねることでどのような害もあると思わなかった。自分のキリスト教信仰を患者に押し付けてはいない」と語った。
先ごろ結成されたキリスト教法律センター(CLC)がペトリーさんのケースを支援している。アンドレア・ウィリアムズ所長は「キリスト者市民が、平等と多様性政策のため、仕事をしたいのなら黙っているか、そうでなければ『公共の分野』から排除されることになるのは、重大な関心事である」と声明で指摘している。