ワシントンD.C.のリンカーン記念館で18日行われるバラク・オバマ次期米大統領の就任祝賀イベントで、同性愛者であることを公言している米国聖公会のジーン・ロビンソン主教(ニューハンプシャー州)が祈りをささげることを、就任式実行委員会が12日明らかにした。オバマ氏は20日の大統領就任式で、同性愛に反対するプロテスタント福音派のリック・ウォレン牧師を選出、リベラル派からの強い反発を受けていた。今回のロビンソン主教の起用は、これらリベラル派の反発を和らげることを目的としたとも考えられる。
18日午後7時から9時まで行われる祝賀イベントには、ビヨンセ、メアリー・J・ブライジ、ボノなど多数の豪華スターが参加。俳優のジェイミー・フォックスらによる朗読などもあり、米メディアなどは「米国史上、最も有名人が出そろう就任式になるであろう」と報じている。
しかし、祝賀イベントでの祈祷でロビンソン主教を起用したことに対しては、カトリックなどからすでに反発の声が挙がっており、カトリック連盟のビル・ドノヒュー会長は「最も極端な人物を選んでしまった」などと批判した。
ロビンソン主教は米国で同性愛者であることを初めて公にした主教で、03年の主教就任に際しては米国で大きな波紋を呼んだ。こうした同性愛を巡る問題で、米国聖公会では昨年12月、約700教会(会員約10万人)からなる保守派組織「アングリカン・チャーチ・イン・ノースアメリカ」が誕生し、分裂が公然化している。