教会が大切であるなら、新約聖書でイエスが教会について言及した箇所はなぜ2カ所しかないのか――。
それが、トランスフォーメーション運動で有名なアルゼンチンの伝道者エド・シルボソ氏(76)が著書『エクレシア』(原題:Ekklesia)を執筆するきっかけとなった最初の質問だった。
1990年代にアルゼンチンで起こったリバイバルを導いた指導者の一人であるシルボソ氏は、福音が個々人だけでなく、政治や経済など社会全体をも変革していくトランスフォーメーション運動において世界的に知られている。10代から伝道活動を始め、米フラー神学校などで学んだ後には、「南米のビリー・グラハム」と称されたルイス・パラウ氏の下で仕えた。その後、自身の伝道の働きとして「ハーベスト伝道」や「トランスフォーム・アワ・ワールド・ネットワーク」を創設。伝道の傍らビジネスでも成功を収め、起業家、経営者、牧師、教師、コンサルタント、著者として多数の教会活動、社会活動に貢献している。
そのシルボソ氏の最新刊である『エクレシア』の邦訳版が、21世紀キリスト教会(東京都渋谷区)の出版部門であるライフパブリケーションから出版された。今年2月に立ち上げられたばかりの部門で、『エクレシア』はライフパブリケーションが出版する最初の書籍でもある。
『エクレシア』によると、イエスが生きていた時代、イスラエルにあった主要な機関は、神殿、シナゴーグ(会堂)、エクレシアの3つだった。このうち神殿とシナゴーグはユダヤ教における重要な宗教機関であったが、一方で「教会」と訳されているエクレシアは、政治的、世俗的な色合いの濃い言葉で、建物を持たない人々の集まりを意味した。
シルボソ氏は本書で、クリスチャンを含め現代の人々が抱く一般的な教会像を基にするのではなく、イエスが当時語られた「エクレシア」という言葉の意味や意図を探りながら、クリスチャンに与えられた使命を、自身の実体験を踏まえながら説いている。
シルボソ氏自身は本書について、「本来意図された教会のあり方を再発見するために、聖書に記述されている現象と現代の実例を比較調査した結果の集大成」だとしている。一方で、現在の教会を批判するものではなく、「本書で分かち合っていく内容は革命的ですが反抗的ではありません」と述べている。
21世紀キリスト教会は、『エクレシア』の内容を短く3回に分けて紹介する動画をユーチューブで公開。動画では、シルボソ氏が本書で述べている「変革に必要な5つのパラダイム」や4段階の「祈りの伝道」など重要な箇所を概説するとともに、本書で紹介されているトランスフォーメーションの顕著な事例も紹介している。
邦訳版は上下2巻で出版されており、価格は上巻が1000円、下巻が800円(いずれも税込み)。アマゾンのほか、キリスト教書籍などを販売している「プレイズ」のサイトでも購入可能。またこの他、11月23日(火・水)には、午後8時からリバイバルミッションのユーチューブで、シルボソ氏のメッセージ配信も予定されている。メッセージはアーカイブとして残り、配信後も視聴可能。