日本で最初の按手礼を受けた牧師として知られる沢山保羅(さわやま・ぽうろ)牧師が1877年(明治10年)に設立した日本基督教団浪花教会(当時・浪花公会、大阪市中央区)の78年前の建築風景を収めた8ミリフィルムがこのほど発見された。1930年(昭和5年)に撮影された映像は、近代建築の工事記録としては最古級のものだという。読売新聞が伝えた。
同紙によれば、9分40秒のフィルムには、当時としては最新の滑車を用いてコンクリートを運び上げる工法や、和服姿で式典に出席する人々の様子、聖書や名簿を建物に納めた後に定礎石を披露する場面などが収められているという。大阪の都心部を成す「船場」地域の当時の様子などもわかり、専門家は貴重な映像だとしている。
同教会は、1872年(明治5年)に渡米し、ノースウェスタン大学で神学を学んだ沢山牧師が帰国後、浪花診療所内に設立した教会。沢山牧師は自身も診療所で働くことで自給での教会運営を目指したほか、伝道活動を行う一方で女子教育にも熱心であった。教会設立翌年の1878年(明治11年)には、同郷の後輩で日本女子大の創設者である成瀬仁蔵の協力を得るなどして浪花女学校(現在・梅花学園)を設立するなどしている。
現在の教会堂は、米国人建築家で、信徒伝道者として著名なウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計指導で、竹中工務店(大阪市)が設計・施工した。今回発見されたフィルムには、その建築の様子が収められている。