【CJC=東京】1月20日、バラク・オバマ次期米大統領の就任式で、カリフォルニア州サドルバック教会を建てたリチャード・D・リック・ウォレン牧師(南部バプテスト連盟)が祈祷を担当することになった。サドルバック教会は毎週2万2000人も集めるメガチャーチ。
歴代大統領就任式で聖職者の祈祷が慣例となっており、近年では著名な大衆伝道者ビリー・グラハム牧師がジョージ・ブッシュ現大統領までの9代にわたって祈祷を担当している。グラハム氏は大統領の霊的相談役も務めていたと理解されており、「米国を代表する牧師」とも見られていたが、高齢のため今回は祈祷しないとの取りざたの中で、誰が後任になるか注目されていた。
ウォレン氏はベストセラー「パーパス・ドリブン・ライフ」(人生を導く五つの目的)の著者として知られる。祈祷担当者がウォレン氏に決まったこと自体、米福音派の世代交代を象徴しているとも言えるが、この人選をめぐり、リベラル系の団体や同性愛者団体から批判の声が上がっている。
ウォレン牧師は、同姓婚や人工妊娠中絶などでは保守的な立場を維持しながらも、貧困、エイズ、環境問題の解決に向けた活動に積極的に取り組んでいる。
リベラル系団体『ピープル・フォー・アメリカン・ウェイ』のキャスリン・コルバート会長は「深く失望した」との談話を発表。就任式のような場にこそ「一貫した主流派のアメリカ的価値観」を持った人物が選ばれるべきだった、とコメントした。同性愛者団体『ヒューマン・ライツ・キャンペーン』もオバマ氏にあてた公開書簡で「ウォーレン氏を就任式に招くことにより、同性愛者、バイセクシュアル、トランスジェンダーが政治に参加できるという期待は損なわれた」と述べた。
米聖公会ニューハンプシャー教区のジーン・ロビンソン主教は公然同性愛者だが、「平手打ちを受けたようだ」と言う。一方ウォレン氏は、同姓婚を支持する勢力などからの反発を予測した上でのオバマ氏の勇断を賞賛すると表明した。
オバマ氏は、同姓婚を支持する自分の立場に変わりはないとした上で、「特定の問題で意見が違っても、結束が重要だ」とし、就任式でも国民の結束をアピールする意向を示している。