ギリシャ正教の聖地アトスで、修道士の生活に密着した取材を続ける写真家・中西裕人さんの写真展「聖山アトスとイコン」が、27日から来月9日まで東京・御茶ノ水ソラシティの30メートルに及ぶ屋外アートギャラリー「KS46Wall」で開催されている。期間中は、隣接する「Gallery 蔵」で母の中西庸子さんによるイコン展「祈りと感謝」も同時開催されている。
アトスは世界遺産に登録されているが、正教徒以外の入山は厳しく制限されている。撮影も原則禁止とされており、現地の様子はこれまで、あまり多くは語られてこなかった。中西さんは2014年に日本人として初めて撮影を許可され、知られざる修道士たちの生活に密着してきた。16年からは、本紙で連載コラム「聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―」を2年間にわたって執筆。17年には、新潮社から『孤高の祈り―ギリシャ正教の聖山アトス―』を出版した。
写真展では、聖山アトスをテーマに大判のプリント10点、60インチのモニター27枚を使い、中世から変わらないエーゲ海に囲まれた豊かな自然や修道士たちの暮らし、千年にわたり受け継がれてきた祈りの生活に欠かせないイコン、新型コロナウイルスの一日も早い終息を願って全世界のために祈りをささげた修道士たちのポートレートなどを展示している。他にも、外出自粛が続く中、少しでも旅行気分を味わってもらえればと、ギリシャをはじめ、イタリア、ポルトガルなど海外で撮影した風景写真もスライドで展示している。
中西さんは、コロナ禍でこれまでとは違う写真表現と新たな展示方法を模索する中で「KS46Wall」での展示に新たな可能性を見いだしたという。「屋外で密を避けることができますし、朝は午前6時半から夜は午後10時半までと好きな時間にお楽しみいただけます。朝焼け、照りつける太陽、陽が沈んだ静寂の夜など、いろいろな変化を見ることができる展示会場です。回廊には椅子にテーブルもあるので、のんびりと人目を気にせず鑑賞できます。ぜひお散歩がてらお立ち寄りいただき、少しでも旅気分を味わってもらえたら」と話した。
展示内容
ピクチャーゾーン(大判プリント10枚):聖山アトス
モニターゾーン(6テーマ、60インチモニター27枚のスライドショー):ギリシャ(サントリーニ)、イタリア、ポルトガル、聖山アトスの暮らし、聖山アトスのイコン、アトスの修道士たち