新型コロナウイルスは、世界保健機関(WHO)が3月初めにパンデミック(世界的大流行)を宣言してから4カ月以上たった現在も、毎日世界で20万人前後の新規感染者が発生し続けており、収束のめどがたっていない。比較的初期に感染が拡大したイタリアでは、高齢のカトリック司祭(神父)が多数犠牲になったが、コロナに感染して亡くなった大司教や司教はこれまでに、世界で少なくとも9人に上るという。
カトリック系のCNA通信(英語)によると、ブラジル・パルマレス教区のヘンリケ・ソアレス・ダコスタ司教(57)が18日、コロナ感染症により死去した。ブラジルで感染によって亡くなった大司教・司教はこれで3人となり、世界では9人となった。ダコスタ司教は2週間以上にわたって集中治療室で治療を受けていたという。感染者が200万人を超えるブラジルは、米国に次いで世界で2番目に感染者が多く、国内で計5人の大司教・司教が感染したとされている。
ブラジルで亡くなったのは他に、パソフンド教区のペドロ・エルシリオ・シモン名誉大司教(78)=6月1日没=と、パライバ教区のアルド・パゴット名誉大司教(70)=4月14日没。パゴット名誉大司教はすでにがんを患っている身だったが、コロナに感染し呼吸不全により亡くなったという。
ブラジルに隣接するボリビアでは、エルアルト教区のウジェニオ・スカルペリーニ司教(66)が7月15日に亡くなった。スカルペリーニ司教はイタリア出身で、ボリビアで10年にわたって奉仕していたという。
米国では、ボストン教区のエミリオ・アリュー補佐司教(85)が4月26日に死去。英国では、リバプール大司教区のビンセント・マロン補助司教(88)が5月18日に亡くなった。
アフリカでは、コンゴ民主共和国ムウェカ教区のジェラルド・ムルンバ・カレンバ名誉司教(82)が4月15日に首都キンシャサの病院で、ケニア・メルー教区のサイラス・シルビウス・ヌジル名誉司教(91)が同28日に、イタリア・トリノで死去した。エチオピア・ガンベラ使徒座代理区で奉仕していたイタリア人のアンジェロ・モレスキ司教(67)は3月25日、イタリア・ブレシアで死去。モレスキ司教が、コロナ感染により亡くなった最初の司教だった。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(英語)によると、コロナの感染者数は日本時間22日午後10時現在、世界で約1500万人に上り、死者は60万人を超えている。感染者が最も多いのは米国で約390万人に上り、次いでブラジル約216万人、インド約119万人、ロシア約78万人、南アフリカ約38万人となっている。