適正な手続きを踏んでいない身体の拘束、いわゆる「恣意的拘禁」の問題に取り組む日本カトリック難民移住移動者委員会など10の団体による市民グループが20日、日本政府に対し、国連の恣意的拘禁作業部会による国別訪問手続きを直ちに実現するよう求める共同声明を発表した。
国別訪問手続きの日本への要請はこれまでに少なくとも、2015年4月と18年2月の2回行われているが、いまだ実現していない。声明は、入管収容、刑事拘禁、精神医療の3分野で恣意的拘禁による人権侵害が近年深刻化していると指摘し、実態調査を踏まえた国連部会からの勧告や助言が必要不可欠だと主張している。
さらに、国連人権理事会の理事国である日本が11年3月に表明し、誓約した「すべてのテーマ別特別手続に関する恒常的な招待(スタンディング・インビテーション)」と、16年の理事国選出の際に行った「人権理事会への積極的参加」「特別手続の役割を重視」「特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため、今後もしっかりと協力していく」との自発的誓約を遵守、履行するためにも、国別訪問を直ちに実現すべき責任があると訴えた。
声明を発表したのは、日本カトリック難民移住移動者委員会のほか、全国難民弁護団連絡会議、移住者と連帯するネットワーク(移住連)、監獄人権センター、医療扶助・人権ネットワーク、ヒューマンライツ・ナウ、入管問題調査会など10団体。市民グループはこれまでにも「人道危機にある入管収容の現場から人間の尊厳の確保を求める共同声明」(19年10月)や「長期収容・『送還忌避者』問題解決のための共同提言」(同12月)を発表している。