カメルーンで現地時間10月20日夜、聖書翻訳者がフラニ族の過激派と見られる集団に自宅で殺害された。同国では2カ月前にも聖書翻訳者が殺害される事件が起きている。
宣教団体「オアシス・ネットワーク・フォー・コミュニティー・トランスフォーメーション」の責任者で活動家でもあるエフィ・テンボン氏によると、殺害されたのは聖書翻訳者のベンジャミン・テム氏(48)。同国西部のワム地区にある自宅で殺害されたという。
テム氏は、2016年に新約聖書の翻訳を完成させた「アゲム語聖書翻訳プロジェクト」の一員で、ワム地区では聖書の朗読会も推進していた。テム氏には5人の子どもがおり、葬儀は21日に執り行われた。
容疑者は今のところ不明だが、地元の住民はフラニ族の過激派を非難している。政府関係者らがイスラム教徒のフラニ族をたきつけて、分離主義を支持するキリスト教徒の農民を襲撃させたとしている。
アフリカでは牛を放牧する土地の権利をめぐって、イスラム教徒の遊牧民が主体のフラニ族と、キリスト教徒の農民が衝突している。
「テム氏は昨夜、政府を支持するフラニ族の遊牧民と思しき者たちに襲撃されました。襲撃者らはテム氏を虐殺し、喉を切りました」とテンボン氏はフェイスブックに投稿した。
テム氏が殺害される2カ月前には、同じくワム地区でアゲム語聖書翻訳プロジェクトに関わっていた聖書翻訳者のアンガス・ファン氏が、自宅で殺害されている。テンボン氏によると、フラニ族はこれまでワム地区だけで少なくとも24人を殺害し、幾つかの家屋に放火するなどしている。