米キリスト教保守系シンクタンク「宗教民主主義協会」(IRD)によると、米国の主流派教団「ディサイプルス教会」は、現在の会員減少率が変わらない場合、10年以内に半減する恐れがある。
IRDの報告(英語)によると、ディサイプルス教会の会員数は2017年から18年にかけ、約41万1千人から約38万2千人となり、7パーセント減少した。礼拝出席者は11パーセント減少し、約13万9千人から約12万4千人となった。さらに、受洗者数は約4300人から約3700人となり、13パーセント減少した。
これらの数値は、ディサイプルス教会の2019年版年鑑に掲載されている統計で、IRDのジェフ・ウォルトン氏は、「現在の割合で減少した場合、ディサイプルス教会は10年以内にさらに50パーセント減少します」と言う。「この減少率は、アメリカ合衆国長老教会(PCUSA)の減少率を上回っています。PCUSAの2018年の会員減少率は約5パーセントで、これが過去10年近く『最速の減少率』となっていました」
一方、ディサイプルス教会は、今年から教勢の報告形式をオンラインに変更しており、その影響で報告する教会が減少したことも、統計上の会員数減少の一因だという。ディサイプルス教会は他の教団と違い、報告がなかった場合、前年の数値から推定値を算出して計上することはしていない。
クリスチャンポストの取材に応じたウォルトン氏は、ディサイプルス教会の会員減少率が他の主流派プロテスタント教団を上回っていることを指摘した。ウォルトン氏によると、米国聖公会や米国バプテスト同盟は1~3パーセントの減少率で、PCUSAやキリスト合同教会(UCC)は5~6パーセントの減少率だという。
「受洗者数の急激な減少に見られるように、ディサイプルス教会は衰退しています。万人救済主義の神学が、聖職者の伝道意欲を削いでいるようです」とウォルトン氏。「ディサイプルス教会は聖書復帰運動の流れをくむダイナミックな説教と伝道の歴史を持っています。しかし残念ながら、その歴史はますます衰退しています。比喩的な言い方ですが、霊的指導者たちが『古き時代の精神に執着している』ためです」
ウォルトン氏は、ディサイプルス教会の神学的見解が同教団の衰退の一因になっていると考えている。その根拠としてウォルトン氏は、同教団の聖職者が大半の会員よりもリベラル傾向にあるとする調査結果を引用した。
「裏付けに乏しい話ですが、聖職者たちは往々にして日曜礼拝で政治的な説教ばかりするので、うんざりしていると会員たちは話しています」とウォルトン氏。「会員たちは福音を聞きたいのですが、聖職者たちは社会的な説教に意識が向いています。ある信者の言葉を借りるなら、『腰砕け説教』になってしまっているのです」
クリスチャンポストは、この件についてディサイプルス教会に確認を求めたが、教団の広報担当者が出張中のため締め切りまでに回答を得られなかった。
宗教データアーカイブ協会(英語)によると、ディサイプルス教会は最盛期の1957、58年には約194万人の会員がおり、2000年でも18年の2倍以上の約82万人の会員を擁していた。
ディサイプルス教会の広報担当者チェリリン・ウィリアムズ氏は、クリスチャンポストとの18年のインタビュー(英語)で、同教団は長年の衰退に対処する措置を講じていると語っていた。