上智大神学部(東京都千代田区)が来年度から新しく体制を変えてスタートする。これまで25人であった定員を、40人と大幅増員。編入枠も新設して、来年度から8人の定員で募集する。カリキュラムも目的や関心に応じて広く門戸を開き、神学系、キリスト教倫理系、キリスト教文科系の3つに再編される。
同神学部は今年創設50周年目を迎える。佐久間勤学部長は挨拶で、変遷が目まぐるしい現代社会において求められているのは、「一人ひとりが人間の尊厳を真摯に見定めるとともに、相互の理解をより深めていくこと」だとして、「日本で唯一のカトリック神学部である本学部は、今回より広く門戸を開いて、入学定員の増加を行なうことになりました」と今回の新体制について説明する。
キリスト教に学び、現代の課題に挑戦するとして今後、「聖職者や宗教科教員の養成にとどまらず、堅固でありながらも柔軟なキリスト教的価値観に基づいたより多くの人材の養成を目指す」としている。
授業は大学院とも連携したカリキュラム体系となっており、4年次で大学院科目の履修も可能。今回新たに再編された神学系は、神学を専門に学びたい学生や聖職者の養成が目的で、大学院進学で教皇庁認可の学位(STB、STL、STD)を取得できる。[キリスト教倫理系は、いのちの倫理、性の倫理、社会倫理などの応用倫理について幅広く学び、宗教科教員の養成などを目指す。また、キリスト教文化系は、思想・芸術・聖書の学習を通して、キリスト教文化の歴史的変遷と現代的意味について学ぶ。
創設以来、カトリック司祭の養成を主な目的としてきた同学部だが、他教派の人、あるいは司祭を目指さない人や女性も入学可能。現在は学部卒業生の2割が司祭や修道者として福音宣教や宗教教育に携わり、カトリック系学校の教職に就く人が2割、大学院進学者が2割、一般企業へ就職する人は4割程度。