【カンタベリー(英)=ENI・CJC】(トレバー・グランディ記)ロンドン証券取引所のアナリストは、英国国教会に、投資状況を検討するよう助言している。カンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ氏ら教会指導者が市場の統制強化を要求した後だけに、それが自らの投資にどう影響するか、を考えるのは当然だというもの。
「教会が、十分な利潤を期待するなら、低リスク、低成長を言うことは出来ない。資産構成を広げる必要がある」とアナリストのマーク・スピークス氏は9月27日にBBCのインタビューで語った。
カンタベリー大主教とそれに次ぐ霊的指導者とされるヨークのジョン・センタム大主教が金融市場の問題点を指摘したばかり。センタム大主教は金融トレーダーを「資産はぎ取り屋とと銀行強盗」との烙印を押し、ウィリアムズ大主教は、カール・マルクスの資本主義批判を部分的には正しかったとも語っている。
英国の代表的なキリスト教シンクタンク『エクレシア』のジョナサン・バートレー氏は、英国国教会自身が、原油や商品相場で高利益を得ていたとする声明を出した。教会が、「2006年に為替変動による損失を回避する投資も行った」と言う。
公営BBC放送に、「教会は物価上昇率を5%上回る収益を目指しており、最近10年間では年利9・5%を得ている。教会がより収益の低い投資をするという考えもある」と、バートレー氏は語った。
英国国教会報道事務所のルイス・ヘンダーソン氏はENI通信に、教会の倫理的投資顧問団が、株式貸しの手法を検討するよう依嘱されている、と語った。
大主教会議のスティーブ・ジェンキンズ広報担当は、『エクレシア』の声明が「多くの点で誤解を招く」と言う。教会の財務委員会は、短期の収益を期待しているのではなく、鉱山、原油など資産構成を広くし、倫理方針に従って投資している、と付け加えた。