日本統治時代の1919年に朝鮮半島で起こった3・1独立運動と、その契機になったとされる東京の朝鮮人留学生による2・8独立宣言の発表から100年を迎えるに当たり、日本キリスト教協議会(NCC)が18日付で声明を出した。2・8独立宣言と3・1独立運動について「今も私たちに問い掛けられる歴史責任であり、和解と平和の課題」としている。
1919年2月8日、東京・神田にあった在日本東京朝鮮基督教青年会館(現・在日本韓国YMCA)で数百人の朝鮮人留学生たちが「2・8独立宣言」を発表。官憲が会場に乱入する中、一斉検挙を免れた学生が自分の学生服に縫い込んだ宣言文を持って朝鮮に渡り、かつて指導を受けた牧師に伝えた。これが、33人の宗教者代表(うち16人がキリスト者)による3月1日の独立宣言文発表につながったとされる。
声明は「私たちキリスト者はこの2・8独立宣言と3・1独立運動との日本の関わりの歴史を大切な教訓として、現代の課題と向き合わなければなりません」と指摘。「大日本帝国による侵略戦争と植民地支配の責任についての信仰告白にあらためて立ち帰り、南北の平和統一のために奮闘する朝鮮半島のキリスト者と共に、南北朝鮮と日本の真実の和解と共生の平和を目指し、また日本の平和憲法に基づく民主主義を守り、排外主義的なナショナリズムに抗(あらが)い、共生の平和を求める宣教の使命を担う道を、平和の主に導かれるように切に祈らずにはおれません」としている。
具体的な決意として、▽韓国キリスト教教会協議会(NCCK)と共に日韓の和解と平和に努める、▽憲法前文と9条に刻まれた恒久平和と戦争永久放棄の精神と、憲法が規定する政教分離原則を守る闘いを続ける、▽沖縄の反戦平和を求める闘いに連帯し、ヘイトスピーチをはじめとするあらゆる人種・民族差別に否を唱え、在日外国人との共生社会を目指す、▽日本を含む北東アジア全体の脱原発・非核兵器地帯の確立を目指す宣教の使命を担うことなどを表明した。