過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者であるアブバクル・バグダディ容疑者の息子ホザイファ・バドリ氏が、シリア中部ホムスで行われた作戦で死亡した。IS傘下のアマク通信が3日伝えた。
報道によると、バドリ氏はホムスの火力発電所でISが行った、ロシア軍やアラウィ派に対する作戦で死亡した。アラウィ派は、イスラム教の2大宗派の1つシーア派の一派で、シリアのバッシャール・アサド大統領が属する。
アマク通信は機関銃を持ったバドリ氏の写真も掲載しており、写真からは10代の青年に見える。英デイリー・テレグラフ紙がイラクの歴史学者の話として伝えたところによると、バドリ氏は2000年にイラク中部の都市サーマッラーで、バグダディ容疑者と同容疑者の1人目の妻であるイラク人女性との間に生まれた。当時、バグダディ容疑者はまだ、ISの前身となるイラクのアルカイダ系組織の幹部になる前だった。
AFP通信によると、バグダディ容疑者には1人目の妻との間に他に3人の息子がおり、2人目の妻との間にも息子が1人いる。
バグダディ容疑者をめぐっては、ロシア政府が昨年、空爆で死亡した可能性があると発表したが、今年5月になってイラクの情報当局がイラクとの国境に近いシリア領内で生存している可能性があると伝えている。
ISは数年前まではイラク、シリアの両国に支配地を大きく広げ、キリスト教徒やヤジディ教徒などの少数派をターゲットに虐殺してきた。そのためここ数年のキリスト教徒に対する迫害の大きな要因となっていたが、米ニューヨーク・タイムズ紙によると、シリアにおける支配地域は現在、同国領土の3パーセント未満にまで減少したと見られている。