【バンガロール=ENI・CJC】インターネット上に、喫煙するイエス像が流れていることに、アジア各国の教会の中には当惑が広がっている。何しろタバコの煙をくゆらすだけでなく、ビールらしきものも手にしているのだ。
昨年8月、マレーシアのタミル語紙『マッカル・オサイ』が喫煙するイエス像を掲載して1カ月間の発行禁止処分を受けた。同紙は少数派インド系市民を対象に発行されている。カトリック教会クアラルンプール教区のマーフィー・パキアム大司教が、問題の絵を「冒涜」と非難したのを受けてのもの。同紙は、偉大な指導者の発言を集めた特集ページの制作の際の事故だとして絵の掲載について謝罪した。担当者は、使用する写真のイエスが喫煙しているのに気がつかなかったのだ、と言う。
インド南部アンドラプラデシュ州では、日刊紙『サクシ』(証し)が7月13日、問題の絵を掲載、怒ったキリスト者が抗議に押し寄せた。 同紙は、ラジャセクハラ・レッディ州首相一族の所有、キリスト者への謝罪を1面に掲載した。イエス・キリストには最大の敬意を払っており、絵の掲載は「失敗」だとしている。同紙は責任を、インターネットから問題の画像を取り出した副編集長のものだとした。
アンドラプラデシュ教会協議会のJ・A・オリバー幹事は、「きわめて恥ずかしいこと」と言う。同協議会は声明で、「信仰が関わるところでは、正確さだけでなく、敬意を持って取り組むべきだ」と指摘している。
インド・ケララ州ではカトリック教会がネイヤティンカラ教区誌『ヴェチャナ・ジョティス』(言葉の炎)が表紙に問題の絵を掲載したことを問題視、謝罪と同誌の廃刊を決めた。
教区のビンセント・サミュエル司教は、聖職者編集長とボランテア編集スタッフが問題の絵を小さく扱うつもりだったが、出来上がりが大きかったので、タバコをステッカーで隠し、それを配布したところ、信者の多くが怒り、抗議の声を上げたのだ、とENI通信に語っている。