ボルネオ島マレーシア領の都市ミリで9日、聖公会やカトリック、メソジスト、福音派など、地元の20教会が協力して「ミリ・クリスマス・マーチ」を開催した。天候はあいにくの雨だったが、約4万5千人が参加し、ミリのランドマークである大型公園「ミリ・シティー・ファン」まで、主を賛美しながら練り歩いた。マーチには来賓として、サラワク州のダグラス・ウガー・エンバス副首相やミリのアダム・イー市長らが出席した。
10周年記念となる今年のマーチは「神に栄光」をテーマに行われ、過去最大の規模となった。教派を超えて多くのクリスチャンが参加し、クリスマスを共に祝うこのイベントは、真のエキュメニカル行事と言える。聖公会の信者らを筆頭にしたマーチの後には、カトリック教会の楽団による陽気な賛美礼拝が行われ、その後、ボルネオ福音ミッションによる伝統舞踊、セブンスデー・アドベンチスト教会の聖歌隊による賛美、サラワク・バプテスト教会による出し物が披露された。
説教は、聖公会クチン教区のドナルド・ジュート主教が行い、同教区のソロモン・チョン・サン・ブーン補佐主教がサラワク州教会連絡協会を代表して、マーチの実行委員長を務めた。開会のあいさつでは、サラワク州のアバン・ジョハリ・タン・オペン首相の代理として、ウガー副首相が演台に立ち、州政府がキリスト教エキュメニカルセンターの建設用地として、ミリ・バイパス道路に隣接する5・8エーカー(約2万3千平方メートル)の土地使用を認可したことを明らかにした。
ボルネオ島マレーシア領の英字紙ボルネオ・ポスト(英語)によると、ウガー副首相はあいさつで次のように述べた。
「土地使用の認可が下りたからには、キリスト教エキュメニカルセンター計画は必ず実現すると信じます。ミリのさまざまな教派の属する12万人余りのクリスチャンは、快適な施設で学び会やセミナー、その他の活動ができるようになるでしょう」
この計画は、同州内の宗教団体が提出した77件の助成金申請事業のうち、承認された12件の1つ。事業の総額は1500万リンギット(約4億円)に上る。
サラワク州のアバン・ジョハリ首相は祝辞で、同州の宗教的寛容を称賛して次のように述べた。
「他の場所では、こうは行きません。特に南シナ海一帯の地域では、あり得ないなことです。私たちサラワク州民はキリスト教徒、イスラム教徒、仏教徒、ヒンズー教徒などで構成されており、住民の間では常に友情と兄弟愛を培ってきました。なぜなら私たちは、一致と社会的結束が経済開発と発展の柱であることを知っているからです」
「当然ながら、サワラク州民の間にも意見や物事の見方の相違はあることでしょう。しかし、そのような違いがあるからといって、一致団結を培うサラワク州民の真摯(しんし)な努力が妨げられるわけではないのです」
日本の国土の約1・9倍の大きさがあるボルネオ島は、マレーシア、インドネシア、ブルネイの3カ国が領土を分け合っている。島内のマレーシア領は北のサバ州と南のサラワク州に分かれている。サラワク州はイスラム教が国教のマレーシアで唯一、キリスト教人口(約42パーセント)がイスラム教人口(約32パーセント)を上回る州。ミリはサラワク州北部の都市で、ブルネイと国境を接する。20世紀初頭に油田が発見されたことでオイルタウンとして成長し、現在は州都クチンに次ぐ州内第2の都市。