西村建築設計事務所シリーズ ④
日本福音ルーテル名古屋めぐみ教会
テーマ デザインテーマは「めぐみの光」
主要用途 教会、牧師館 献堂式 2009年12月12日
所在地 愛知県名古屋市南区鳥栖1-15-32
構造 鉄骨造2階建
延床面積 469・89㎡(142・1坪)
設計者 西村建築設計事務所 代表 西村晴道
キリストの存在を表すしるし(サイン)を建築に表現するのに、① 建物 ② ドア ③ 光 ④ 十字架がある。名古屋めぐみ教会のデザインテーマは「めぐみの光」。光は、世の光として、自然の光、ステンドグラスよりの光、ろうそくの光をどのように取り入れるかだ。
まず、礼拝堂には間接的に後ろの天井からやさしい光が射し込む。そして礼拝堂の照明は、ペンテコステの時、一同が聖霊に満たされたイメージとして、多数の照明器具をランダムに天井から吊り下げた。
礼拝堂の音響については、説教が聞き取りやすく、かつ賛美が豊かに響くよう、特に配慮した。正面聖壇壁は、ゆるやかな弧と雲母混じりの吹き付けで音を放射状に乱反射し、他の壁は、天井まで三角柱を並べた反射壁で音を拡散した。
四隅付近は音がこもるため吸音壁にし、音響工学に基づく仕様と形状を効果的に配した。穏やかな光に包まれた静寂な祈りの空間、それが「めぐみの光」だ。
礼拝堂
ステンドグラス 造形作家・西村陽平氏
めぐみ教会のステンドグラスに寄せて
「めぐみの光」と「最後の晩餐」 西村 陽平「あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」という言葉とともに、「最後の晩餐」の光景が見えていた。2009年9月4日、まだ工事中で足場が組まれていた礼拝堂に足を踏み入れた時のことだ。正面の大きな十字架を中心に左右に広がる空間。材料や資材が置かれた雑然とした床。そして、空間の見通しを妨げる天井近くまである足場、という中で、「最後の晩餐」を感じた。
「めぐみの光」。今回、依頼されたテーマである。抽象的な言葉なので、どのように解釈するかということで、しばらく考えていた。これも、最初に浮かんだのが「光あれ」という言葉だった。現代は光があふれている。夜も明るく、くっきりと見える。すべて見えることによって、すべて分かっていると錯覚してしまう。しかし、目に見えないものにこそ大切なものがある。光のおかげで見ることができるのだが、目に見えないものを見せてくれる光もある。光を「見えないものを照らす光」というように解釈した。
「青い光の中に差し込む黄の光」。夜と昼の狭間としての夜明け、昼と夜の狭間としての日没。青い光の中に差し込む一瞬の黄の光。この静寂の時間に「わたしは始めであり、終わりである」という言葉も込めてみたい。
ガラスはそのままで美しい。通俗的にならないように、装飾性を排して、極限まで抽象的な表現を用いた。
タペストリー制作
フィンランドのデザイナー カルリオ・シルパ氏
■ 献堂式 2009年12月12日
模型
解体前既設教会堂
最後のクリスマス 2008年12月21日
■ 牧師説教動画
■ コーラス動画
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